後遺障害診断にあたって、何か気を付けなければいけないことはあるか?

後遺障害診断にあたって、何か気を付けなければいけないことはあるか?

むち打ち症について、後遺障害の等級が認められる場合というのは、実際に首腰の痛みや肩から手指の先、お尻や太ももから足の指先のしびれが残っているということなのですから、後遺障害診断の時には、主治医の先生にありのままを伝えれば良いはずですし、主治医の先生にはその旨を診断書にお書きいただけば良いということになります。

 

しかし、なかなかどうして、ありのままを伝えることが、かくも難しいものなのかというのが私共の感想です。
例えば、被害者の方が「右を向くと首がもっと痛くなる」と言ったら、「頚部動作痛(右を向いた時だけ痛い)」と診断されることがあります。正確には、「頚部(安静時痛)、右に向くと増悪」といった診断を頂きたいのですが、主治医の先生もお忙しい中で対応されますので、こういうコミュニケーション上の齟齬は、実によく生じます。ですから、主治医の先生に、症状を正確に伝えられるよう、是非、気を付けてくださいね。

 

ところで、当弁護士法人では、ご依頼を受けた被害者の方の後遺障害診断書作成の際、事前にお手紙をお送りして、ご当事者にアドバイスをさせていただいています。症状を正確に主治医の先生にお伝えいただけるよう、事前に被害者の方と話し合いをさせていただいた上、当日お伝えいただく症状の内容について、ご自宅にお手紙をお送りします。
お手紙の中で、「じっとしていても痛い」こと(安静時痛)を主治医の先生にきちんと伝えることの重要性についてお話しした上で、右を向いたときはもっと痛くなること(動作時の痛みの増悪)についてお話し下さるようお伝えします。
この取り組みを始めてから、主治医の先生とのコミュニケーション上の齟齬は確実に減ってきており、事前アドバイスの成果が出ているようです。

 

また、主治医の先生に対しては、ご記載いただきたい事項や施行していただきたい検査についてメッセージをお送りしています。

 

勿論、ご記載の内容は、主治医の先生の診断によりますが、必要な検査を一通り行っていただくことや、特に検査結果に異常があった場合には、その点を漏らさず記載していただくことが、等級認定を受ける上で非常に重要です。

 

被害者の方の自覚症状についても、事前に被害者ご本人に聴取した上で、まとめて先生宛のメッセージに盛り込みますが、やはり、後遺障害診断当日は、被害者の方の自覚症状の訴えが重要です。

 

そこで、事前にお送りしたお手紙が威力を発揮します。

 

後遺障害診断というと緊張される方もいらっしゃいますが、後遺障害診断の当日は、お手紙をご覧いただいた上で、ご自分の症状の正確な伝え方を復習してから病院においでいただくことができるので安心です