太ももの上部を骨折後、股関節の障害について12級を取得し、837万円を獲得した事例

右大腿骨転子部骨折後の右股関節機能障害について12級を取得し、837万円を獲得した事例

太ももの上部を骨折後、股関節の障害について12級を取得し、837万円を獲得した事例

右大腿骨転子部骨折後の右股関節機能障害について12級を取得し、837万円を獲得した事例
後遺障害内容・部位 右股関節転子骨折後の右股関節機能障害・股関節痛・脳挫傷痕の存在
診断名・症状名 右股関節転子骨折
後遺障害等級 12級
主な自覚症状

オールイズワンに後遺障害等級認定・示談交渉サポートを受ける前と
受けた後の違い

賠償項目 獲得金額
後遺障害慰謝料 290万円(裁判基準)
後遺障害逸失利益 187万円(裁判基準)※1 ※2
傷害慰謝料 178万円(裁判基準)
主夫の休業損害 172万円 (裁判基準超)※3
その他 10万円 (裁判基準超)※3
合計額 837万円
※1 基礎年収
2,835,200円(70歳以上平均賃金)
※2 逸失利益
本件で、被害者の方は、奥様・ご長女と同居されていましたので、例えば上記※1の1/3を基礎収入とすることも考えられるところですが、その満額を基礎収入とすることができた点で、裁判基準超えでの解決と見ることができます。
※2 主夫休害
主夫の休業損害として、入院治療期間については100%の、その後約1年間にわたる通院治療期間については57%の休業損害の取得に成功しており、奥様・ご長女と同居されていることからすると、同種の怪我をされた方に関する裁判所の標準を上回る認定と思われます。

ご依頼の経緯

交通事故で、右股関節転子部を骨折し、入院当初から医師から「もう治らない」と言われ、家族共々絶望してしまっていると、奥様とご一緒にお見えになりました。

結果(後遺障害部分)

後遺障害診断に先立ち、可動域測定その他検査に関するアドバイスをさせていただき、ご安心いただくことができたと思います。等級認定手続も順調に進み、等級申請から1か月の短期間で後遺障害12級の認定を受けることができました。

示談交渉の経緯

本件事故後、被害者の方は、右の股関節の動きが悪くなったことで、歩行にも支障を来していました。「痛い、痛い。」と言いながら足を引きずって歩く被害者の方の姿を見て、奥様は、涙が溢れたと言います。「情けない。これが一生続くならもう死にたい。」という言葉を被害者から聞いた時、ご家族は悲嘆に暮れたと言います。

 

ご家族にこれほどの悲しみを与えたこの事故による被害者の方の苦しみを、どのように示談交渉の中で形にするかが、本件の焦点でした。

 

まずは、ご家族を代表して奥様のお話を「陳述書」という書面にまとめ、これをもとに増額慰謝料を請求しました。陳述書には、事故後の被害者の方とご家族が苦しみと悲しみに暮れる様や、日常生活の実態を書き連ねました。

 

増額慰謝料請求というのは、いわゆる裁判基準の慰謝料額を超える請求ですので、「裁判基準を把握し、超えよ!」をモットーにやっている当弁護士法人でも、保険会社からそう頻繁に認定を受けられるわけではありません。

 

他方で、私が自分を鼓舞するためにいつもブツブツ言っていることは、

 

「結果が全て。」

 

です。

本件では特に、被害者とご家族の悲しみの実態を、何とか、損害賠償の形にしなければならないと思いました。

 

そこで、奥様・ご長女と同居されていたとは言え、被害者の方は退職後、かなりの家事に取り組まれていました。そこで、事故受傷により家事労働ができなくなったとして、主夫としての休業損害と後遺障害逸失利益を請求しました。

 

相手弁護士からは、妻と長女との3人暮らしであったこと、長女が夕食の支度を分担していたこと、被害者の方は事故の3か月前まで仕事をしていたこと、被害者の方には変形性膝関節症の既往症があることなどから、家事は3人で分担して行っていたとみるべきであるという反論がなされました。

 

陳述書で、事故前、被害者の方がいかに家事労働に取り組んでいたかを詳細に主張していたこともあり、主夫としての休業損害や後遺障害逸失利益を一切認めないという反論は免れましたが、相手の反論に従うと休業損害と後遺障害逸失利益の額が大幅にダウンしてしまいます。

 

そこで、相手方弁護士と協議を繰り返し、最終的には、脳内出血による軽度半身麻痺の事案ではありましたが、裁判上、本件と同じ後遺障害12級の認定を受けた被害者が、家事労働の制限を受けたとして主夫の休業損害と後遺障害逸失利益を認定された事案を類似事例として解決することになりました。

 

これにより、被害者の方と同年齢の女性の平均賃金に基づき休業損害と後遺障害逸失利益を算定することとなり、裁判基準満額の認定を受けた慰謝料等と併せて837万円で解決することになりました。

 

相手方弁護士から反論があったとおり、奥様とご長女の3名で生活していたことは事実でしたので、被害者の方が一手に家事労働を手掛けていた前提で賠償金を取り決める合意をすることができたのは、成功でした。

 

その背景には、示談交渉開始当初から、陳述書にしたため主張し続けた、被害者であるご主人に対する奥様の思いがありました。

所感、争点

本件では、被害者の方が一手に家事労働を担っていたことを前提として、家事労働制限に基づく休業損害と後遺障害逸失利益の認定を勝ち取り837万円の認定を得ることができました。

 

もし、被害者の方とご家族の精神的苦痛を主張することに終始して、慰謝料だけしか認められなかった場合には、傷害慰謝料、後遺障害慰謝料の双方とも裁判基準での認定であったとしても468万円に留まります。

 

そうなれば、今回の解決金額から約370万円の急降下となってしまいます(837万-468万=369万)。

 

今回のような解決を実現するために必要なのは、弁護士の交渉力ということになりますが、交渉力と言っても、口八丁手八丁でおしまいというわけにはいきません。

 

増額慰謝料の認定に繋がるような形で被害者の精神的苦痛の主張を行うことで、相手弁護士も、裁判所に出たら認定されてしまうかもしれないというリスクを感じてくれます。

 

他方で、家事労働についても、被害者が一手に家事を引き受けていた事実の出し方や、裁判所ではどのような枠組みで休業損害と後遺障害逸失利益の認定がなされるかに関する指摘の方法によって、示談交渉上の認定の確度が変わってきます。

 

結果的に、本件ではこの両方に成功し、いわば、家事労働の休業損害と後遺障害逸失利益の形でもって、被害者の方の大きな精神的苦痛が評価されたということができます。

 

当弁護士法人では、日々、被害者とご家族に代わって苦しみと悲しみを訴え、それをいかにして形にするかを考えています。