60代女性が高次脳機能障害7級を取得して4,270万円で解決した事例

後遺障害逸失利益について、相手主張の労働能力喪失率及び労働能力喪失期間をはねのけ1,890万円を獲得!

60代女性が高次脳機能障害7級を取得して4,270万円で解決した事例

後遺障害逸失利益について、相手主張の労働能力喪失率及び労働能力喪失期間をはねのけ1,890万円を獲得!
後遺障害内容・部位 高次脳機能障害
診断名・症状名 両側前頭葉脳挫傷、後頭蓋窩硬膜外血腫、 頭部外傷後めまい内耳震とう症
後遺障害等級 後遺障害等級7級
主な自覚症状

当弁護士法人後遺障害等級認定・示談交渉サポートを受ける前と
受けた後の違い

賠償項目 獲得金額
治療費 425万円
休業損害 1,180万円(裁判所基準超)
後遺障害逸失利益 1,890万円(裁判所基準超)
傷害慰謝料 253万円(裁判所基準)
後遺障害慰謝料 1,000万円(裁判所基準)
その他 8万円
合計 4,756万円(裁判所基準超)
※10%の過失で4,270万円の認定

ご依頼の経緯

1.ご依頼の経緯と事故態様について

 本件は、被害者が歩道のない道路の左端を自転車で進行し、交差点に進入したところで、左方から進行してきた普通乗用自動車に衝突されたというものです。

 

 被害者が走行していた道路は、道幅だけを見れば加害車両が走行していた道路より狭かったものの、加害車両の走行車線から当該交差点に進入する手前には一時停止の標識があり、加害者がこの指示を怠ったことをしっかりと主張することで、過失割合としては被害者10%、加害者90%で示談を進めることができました。

 

 ご通院されていた接骨院の先生からのご紹介で、お引き受けすることになりました。

 

結果(後遺障害部分)

2.後遺障害について

 本件交通事故により、被害者は脳挫傷や硬膜外血腫といった重傷を負い、結果として高次脳機能障害という形で症状を残存させました。

 

 高次脳機能障害について後遺障害の等級認定を求める場合、大きく分けて3つの要素を審査されることになります。すなわち、①事故受傷直後の意識障害の程度、②画像所見、③知的機能の低下の程度、についてそれぞれ審査がなされ、基本的には1つでも要件を欠く場合、認定は受けられません。

 

 本件被害者の場合、画像所見については脳挫傷等が明確であったため、これを後遺障害診断書に図示していただくことで、異常所見をしっかりと主張することができました。

 

 また、知的機能については、際立って低下しているとまでは言えないものの、言語性IQの低下が生じており、動作性IQに比べ15%水準の有意差が認められました。実際に、買い物での失敗や読書での内容忘れ等、言語性IQについて低下を窺わせるエピソードが認められたため、これらを文書化し、審査機関に主張いたしました。

 

 問題となったのは意識障害についてです。本件被害者は初診時の状態について「JCSⅠ」とされ、また、1日後には「0(意識障害なし)」とされていました。この点について医療記録を精査したところ、初診時の意識障害は「JCSⅠ」ではあるものの「JCSⅠ-2」であることが判明しました。「JCSⅠ-1」が「ほぼ意識清明だが、今ひとつハッキリしない状態」であるのに対して、「JCSⅠ-2」は「見当識障害がある状態」を指し、程度に大きな差があります。また、1日後の「0(意識障害なし)」については、確かに1日後ではあるものの、実際に意識清明になったのは同日の17時55分でした。本件事故は午前10時台に発生したものであるため、被害者が意識清明に至るのには1日以上を要したことになります。

 

 これらを漏れなく立証することにより、別表第二第7級4号の等級認定を受けることができました。

 

示談交渉の経緯

3.示談交渉について

 本件では、こちらから先行して適正な示談額を提案したため、相手方任意保険会社の対案はそれほど低い金額ではありませんでした。しかしながら、①休業損害、②傷害慰謝料、③後遺障害逸失利益については当職の提案との間に大きく隔たりがあり、これらを争点の中心として交渉にあたりました。

 

  •  休業損害

  問題になったのは「基礎収入日額」と「日数」です。

 「基礎収入日額」については、被害者が家事従事者であったため、「賃金センサス女子学歴計全年齢」を基礎としましたが、  採用する年度が異なったため差異が生じました。本件では、事故受傷から症状固定に至るまでに約5年の歳月を要しているため、小さな金額の差でも積み重なって大きな差額が生じます。そのため、一見誤差に見える部分もしっかりと交渉しました。

 また、「日数」についてはこちらの主張が約1,700日であったのに対して、保険会社の主張は736日と大きな開きがありました。被害者が症状固定に至るまでに、万全な状態で家事に復帰したという事実はなく、休業損害の日数を減らすことには到底納得できませんでした。しかしながら、急性期と比べて全く同一の支障が全休業期間を通じて生じているとも言い難いことから、本件では、家事労働能力は徐々に回復し、したがって、労働能力喪失率は徐々に減っていったという「逓減」の理論を採用し、全期間の休業損害を認めさせることに成功しました。結局、裁判所の標準的認定額を超える金額の認定を得たことになります。

 

 

  • 傷害慰謝料

 保険会社は、傷害慰謝料についてもその基礎となる期間を736日として金額を算定しておりました。休業損害と同様に、当職としてはこの主張を受け入れることはできず、実際の治療期間1,700日を基礎とした正当な金額をベースとし、当初はそこに増額要素がある旨を主張しました。最終的に増額は認められないまでも、正当な金額を満額認めさせることができました。

 

 

  • 後遺障害逸失利益

 後遺障害逸失利益は「基礎年収額 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間」の計算方法により算定します。労働能力喪失期間の終期は原則として67歳とされていますが、本件被害者の場合、症状固定時の年齢が65歳であったため、原則を機械的に採用すると当該期間は2年間のみとなってしまいます。そのため、本件では平均余命の2分の1の期間を主張しました。

 また、労働能力喪失率については、被害者の獲得等級である第7級の裁判基準の喪失率である56%を主張したところ、これに対して保険会社は35%(第9級の喪失率)を主張してきました。

 理由が判然としない減額は断固として受け入れることができないため、この費目については56%で満額の認定を強く求め、結果として納得のいく数字を認めさせることが叶いました。

 

所感、争点

 本件では、一般的に争点になりやすい費目が主な交渉ポイントとなりました。理論が曖昧な保険会社の慣習的な減額については、しっかりと反論の上、正当な金額を認めさせることができたと思っております。一方で、本件被害者は、症状固定以降も強いめまいに苦しんでおり、この点を慰謝料の増額という形で訴えました。これ自体を認めさせることはできませんでしたが、この増額主張により、主婦の休業損害や後遺障害逸失利益について、裁判基準満額ないしはそれ以上の認定を得ることに成功し、結局、裁判を経ずして裁判基準超えの賠償金額の獲得に成功しました。

 

 被害者の人生は、ご依頼の件が終了した後もずっと続いていきますので、その後の苦しみやおそれを少しでも汲み取った示談ができるよう、今後も様々な方法を模索していきたいと思っています。