股関節脱臼骨折後に後遺症が残り、関節の動きが悪くなったため併合9級を取得し、損害額2,530万円の認定を受けた事例
股関節脱臼骨折後に後遺症が残り、関節の動きが悪くなったため併合9級を取得し、損害額2,530万円の認定を受けた事例
後遺障害内容・部位 | 左股関節脱臼骨折・骨盤骨折後の股関節機能障害・股関節痛・脳挫傷痕の存在 |
診断名・症状名 | 左股関節脱臼骨折・骨盤骨折・脳挫傷 |
後遺障害等級 | 併合9級 |
主な自覚症状 |
オールイズワンに後遺障害等級認定・示談交渉サポートを受ける前と
受けた後の違い
賠償項目 | 獲得金額 |
後遺障害慰謝料 | 690万円(裁判基準) |
後遺障害逸失利益 | 1,079万円(裁判基準超)※1 ※2 |
傷害慰謝料 | 226万円(裁判基準) |
増額慰謝料 | 40万円(裁判基準超) |
将来手術費 | 30万円(裁判基準超) |
合計額 | 2,065万円(裁判基準超) |
※1基礎年収 2,735,231円
※2逸失利益 本件では、脳の神経症状については全くの無症状であるため、裁判所では、この点に月労働能力喪失率の認定を得ることが難しく、27%の喪失とされる危険性が相当程度ありましたが、この点をクリアし、35%の喪失を前提とした解決ができました。
ご依頼の経緯
被害者は55歳の保育士の女性で、交通事故で股関節脱臼骨折という大怪我を負われました。
怪我の後遺症によって生活全般が大きく変化してしまい、何をどうすればよいのかわからないとおっしゃり、相談にお見えになりました。
結果(後遺障害部分)
股関節脱臼骨折は等級認定を受けやすい
本件は、被害者の方が、自転車走行中に左方向から進行してきた自動車に10メートル前後もはね飛ばされ、脳挫傷と左股関節脱臼骨折という大怪我を負われた事案です。
被害者の方の左股関節の動きは、事故後の入通院治療を経ても、なかなか良くなりませんでした。股関節脱臼骨折は、人の身体に強い外力が働いたときに生じる骨折形態で、医学的に予後が良くないとされています。そのため、動きに制限が残った場合には等級認定を受けやすい骨折の仕方と言えます。
ただし、後遺障害の等級認定というのは、動きの制限があればすぐに等級を認めますという制度ではありません。動きの制限が生じるだけの医学的根拠(例えば、骨折の仕方がひどかったとか、その後の治療を終えても骨がうまく付いていないとか、変形して付いてしまっているなどです。)がある場合にだけ、動きの制限の程度に応じた後遺障害等級が認定されるというルールなのです。
脱臼骨折後の股関節の可動域制限により10級を認定
今回、動きの制限の医学的根拠となるのは、脱臼骨折後の拘縮でした。骨はきれいに付きました。被害者の方も懸命にリハビリを行ったのですが、骨折患部の周りの内部組織が拘縮を起こして固くなってしまい、事故前のような動きができなくなっていたのです。
脱臼骨折は、一時的に血流が途絶されてしまうため、大腿骨の骨壊死に至ることも多い骨折態様とされていますが、骨折後に拘縮を生じる要因となり易い骨折でもあります。
今回の場合は、骨盤骨を突き破るような形で脱臼を生じた骨折でしたので、拘縮に繋がる要因の沢山ある骨折の仕方でした。
そこで、後遺障害診断書には、左の股関節が、右と比べて半分も動かなくなっているという可動域測定の結果と、その結果が生じている原因は、脱臼骨折後の拘縮であることを弁護士が主治医に働きかけて明記していただきました。
そして、等級申請を行い、生じている動きの制限のとおり、10級の認定を受けることができました。
脳挫傷が認められ12級を認定
他方で、被害者の方は、頭部外傷により脳挫傷を負われていましたが、その後、それに関する症状は全くありませんでした。
しかし、事故直後のCTで脳挫傷の画像診断があり、しかも、短時間とは言え意識障害もありました。オールイズワンの実績に照らすと、記憶障害や情動障害の症状が生じている限り、高次脳機能障害の等級認定を受けることが可能でした。
そこで、息子さんやお母様など、ご家族にお集まりいただき、被害者の方の症状の聞き取りをするための会議を開きました。
席上では、高次脳機能障害の等級申請書類に規定されている全ての項目について、若干でも異常がないかをご家族の皆様に質問しましたが、それでも、全く異常はないという答えに至りました。
ただ、念のため、通院終了時にMRI検査を受けていただいたところ、脳挫傷痕が認められたのでそれも含めて等級申請をしました。その結果、神経症状による12級の等級認定を受けることができ、股関節の10級と合わせて併合9級となりました。
示談交渉の経緯
後遺障害逸失利益を獲得
示談交渉においては、股関節の機能障害について獲得した10級について、絶対に裁判基準で賠償金を獲得することが至上命題であったことは言うまでもありません。
他方で、本件事故で頭部に外傷を負い、脳挫傷の診断までなされていた点についても、何とか後遺障害逸失利益を相手保険会社に認めさせることはできないかという思いがありました。
高次脳機能については何らの障害もなく、全くの無症状であったことから交渉は困難を極めました。しかし、医師の医学的意見を駆使して交渉を進め、何とかこの点についても逸失利益を獲得することに成功しました。
相手保険会社の提示よりも倍額以上の金額を勝ち取る
これにより、労働能力喪失率について35%の認定を受けることができました。後遺障害逸失利益の認定額は1,079万円となりましたが、この認定を裁判所で勝ち取ることは極めて困難であったと言えます。
相手は当初、労働能力喪失率を20%と主張してきており、さらに、労働能力喪失期間にも制限を加え、後遺障害逸失利益は約500万円であるとの主張をしてきました。相手のこの提示と比べても倍以上の金額の認定を勝ち取ったことになります。
所感、争点
弁護士が理学療法士と主治医をサポートし診断書を作成
本件を振り返ると、何と言っても後遺障害等級認定が山場でした。後遺障害等級が12級となれば、本件での賠償金認定額は、約1,000万円違ってくることになります。
オールイズワンでは、事故から間もないタイミングからご依頼をお受けすることができます。そのため、ご依頼者との日常のやり取りから、通院先病院での後遺障害診断の環境を知ることができ、診断日に向けた準備もスムーズにできます。
本件のご依頼者の通院先病院では、股関節の可動域を、まずは、マッサージを担当して下さっている理学療法士の先生に測定してもらい、その後に主治医の診察を受けて後遺障害診断に至ることがわかりました。
マッサージの後の可動域測定では、日常の制限された可動域よりも曲がりは一時的に良くなっていますから、診断の日は、まず、可動域を測定してもらい、その後にリハビリをすることとしました。
一方、理学療法士の先生が可動域を測定して下さる場合、きちんと角度計をあてて測定して下さるので、測定値自体の正確性は期待できます。
診断当日は弁護士も同行させていただき可動域を測定し、その測定値を持って主治医の先生との診断に臨み、可動域制限の医学的根拠について、事前に拝見したカルテに沿って伺い、後遺障害診断書にご記載いただくことができました。
後遺障害等級認定に強いオールイズワンにご相談ください
オールイズワンは被害者側での代理人業務案件ばかりを扱っていますが、昨今、自賠責保険の等級審査は非常に厳しく感じます。
正しい後遺障害の等級認定を受けるためには、残された症状について、可動域の測定値も含め、諸処の医学的情報を、後遺障害診断書に、正確に、漏れなくご記載いただく必要があります。
そのため、事故で大きな怪我を負われた方は、是非とも、後遺障害の診断に関与してくれる弁護士にご依頼下さい。
事故で味わった苦痛を、お金に換えることなどできませんが、これは、お金を受け取らなくて良いということではありません。賠償金として相手から支払を受けることで、「事故で受けた苦痛が多少なりとも相手に伝わった」と実感できたという被害者の方も沢山いらっしゃいます。
被害者の方が、事故で狂わされた人生を取り戻し、新たな夢を持っていただくために、オールイズワンは全力で業務にあたります。