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交通事故の鎖骨骨折で後遺障害が認められるケースと慰謝料の基準を解説

交通事故では、追突の衝撃による肩の強打、バイクや自転車からの転倒により「鎖骨骨折」を受傷するケースがよくあります。鎖骨は首の下に突起している箇所のため、他の部位と比べて骨折が起こりやすくなっています。鎖骨骨折は全骨折の中でも約10%を占めます。

この鎖骨を骨折すると、一定の治療を行なっても後遺障害が残る場合があります。後遺障害が認められるとケガの治療費や通院費だけではなく、加害者側に後遺障害慰謝料を請求することができます。鎖骨骨折の後遺障害が認められるのはどのような場合なのでしょうか。

この記事では、交通事故のケガに多い鎖骨骨折の概要をご説明するとともに、鎖骨骨折が後遺障害として認められるケースや慰謝料の基準について解説します。

交通事故による鎖骨骨折とは

一般的な鎖骨骨折が起こる原因としては、「転倒によって体を強く地面に打ち付けた」「肩に強い衝撃を受けてしまった」などが挙げられます。

交通事故の場合は、自動車であれば事故の衝撃で上半身を座席やドアに強打してしまったり、自転車やバイクであれば転倒し肩や腕から落ちてしまったりと、肩付近に強い衝撃が加わることで起こりやすくなります。

鎖骨骨折の症状・治療方法

鎖骨骨折の症状は様々です。肩を動かせないほどの強い痛みや腫れが生じるケースもあれば、骨のずれや変形が見た目でわかる症状、神経損傷による手の痺れなど見た目ではわかりにくい症状もあります。

鎖骨骨折の治療方法は基本的に保存療法が適用されます。つまり、多くの場合、手術は行わずギブスや固定帯で患部を固定しながら治療していきます。もっとも、骨のずれが激しい場合にはプレートやワイヤーによる結合手術をおこなうこともあります。

鎖骨骨折の後遺症

鎖骨骨折の治療を一定期間続けていても、骨折した骨が綺麗にくっつかなかったり、患部に痛みが残ったり、肩関節が柔軟に動かせないといった症状が残る場合があります。

これらの症状は「後遺症」と呼ばれ、後遺障害として認められれば加害者に対し後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益を請求することができます。

交通事故の鎖骨骨折で後遺障害が認められるケースとは

鎖骨骨折の後遺障害には、主に以下の3つの症状があります。

  • ・変形障害
  • ・機能障害
  • ・神経症状

ここでは、鎖骨骨折で後遺症が認められるケース、後遺障害等級についてご説明します。

変形障害

鎖骨骨折における変形障害とは、骨折した箇所がうまくくっつかず変形した状態で残ってしまう症状のことです。手術療法ではなく、ギブスやバンドで骨折部を固定する保存療法を採用した場合に起こりやすい障害です。

変形障害の後遺障害等級

変形障害には、以下の後遺障害等級が当てはまります。

後遺障害等級 後遺障害の程度
12級5号 鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨または骨盤骨に著しい変形を残すもの

参考:国土交通省『後遺障害等級表』

変形障害が後遺障害として認められる基準は、裸体になったとき明らかに見てわかるほど鎖骨に変形が生じている場合です。画像でしか見られない程度の変形であれば後遺障害は認められません。

機能障害

鎖骨骨折における機能障害とは、ケガの影響で肩関節がうまく動かなくなる症状のことです。交通事故と機能障害との因果関係の立証が焦点となり、後遺障害等級審査では肩関節の可動域検査の数値や結果に加え、そのような可動域制限を生じる医学的根拠をもとに検討されることになります。

【参考】:関節可動域表示ならびに測定法
http://www.japanpt.or.jp/upload/jspt/obj/files/publiccomment/4_rom_20140612.pdf

機能障害の後遺障害等級

機能障害には、以下の後遺障害等級が当てはまります。

後遺障害等級 後遺障害の程度
8級6号 一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
10級10号 一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
12級6号 一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの

参考:国土交通省『後遺障害等級表』

8級6号は肩関節がまったく動かない状態、10級10号は肩関節の可動域が健側(怪我していない側)と比べ2分の1(50%)以下に制限されている状態、12級6号は肩関節の可動域が健側(怪我していない側)と比べ4分の3(75%)以下に制限されている状態を指します。

神経障害

鎖骨骨折における神経障害とは、骨折した箇所の痛みや痺れが治療後も残ってしまう症状のことです。認定基準となる後遺障害等級は以下の2つが当てはまり、両者の間には画像等で他覚的・医学的に痛みが証明できるか否かという違いがあります。

神経障害の後遺障害等級

神経障害には、以下の後遺障害等級が当てはまります。

後遺障害等級 後遺障害の程度
12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの
14級9号 局部に神経症状を残すもの

参考:国土交通省『後遺障害等級表』

12級13号は、MRI画像などで神経の圧迫が見られる場合、痛みの自覚症状が画像から推測される症状と一致している場合などに適用されます。つまり、被害者の感覚だけではなく、医学的に証明できるかが判断ポイントになります。

一方、14級9号は画像等では判断できないものの、医学的に自覚症状の存在が医学的に説明できるかどうかにより判断することになります。

このように、痛みがあっても必ずしも後遺障害等級が認定されるとは限らないのです。

鎖骨骨折の慰謝料基準とは

交通事故の鎖骨骨折で後遺症が残り後遺障害が認められた場合は、後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益を請求できます。慰謝料の金額は後遺障害等級ごとに基準が決められていますが、後遺障害逸失利益は年収と労働能力喪失率、年齢に応じたライプニッツ係数を掛け合わせて求めることになります。

ここでは、後遺障害慰謝料の基準や労働能力喪失率を症状・等級別にご紹介します。

変形障害の場合

変形障害で認められる後遺障害等級は12級5号です。

後遺障害12級5号の場合
慰謝料(自賠責基準) 慰謝料(弁護士基準) 労働能力喪失率
94万円 290万円 14%

機能障害の場合

機能障害で認められる後遺障害等級は、8級6号、10級10号、12級6号です。

後遺障害8級6号の場合
慰謝料(自賠責基準) 慰謝料(弁護士基準) 労働能力喪失率
331万円 830万円 45%
後遺障害10級10号の場合
慰謝料(自賠責基準) 慰謝料(弁護士基準) 労働能力喪失率
190万円 550万円 27%
後遺障害12級6号の場合
慰謝料(自賠責基準) 慰謝料(弁護士基準) 労働能力喪失率
94万円 290万円 14%

神経症状の場合

機能症状で認められる後遺障害等級は、12級13号、14級9号です。

後遺障害12級13号の場合
慰謝料(自賠責基準) 慰謝料(弁護士基準) 労働能力喪失率
94万円 290万円 14%
後遺障害14級9号の場合
慰謝料(自賠責基準) 慰謝料(弁護士基準) 労働能力喪失率
32万円 110万円 5%

鎖骨骨折した被害者が後遺障害等級認定を受けるために注意すべきポイント

交通事故の鎖骨骨折は、変形や機能障害、神経症状といった後遺症を残すケースがあります。
ここでは、鎖骨骨折の診断を受けたときや後遺症が残ったときに被害者が注意すべきことを解説します。

整形外科での治療と定期的な通院の必要性

交通事故の被害者が後遺障害等級認定を受けるには、医師が作成する後遺障害診断書を提出しなければなりません。後遺障害診断書には、後遺障害の症状について詳しく記載してもらわなくてはなりませんので整形外科には治療のために通院を続ける必要があります。

また、その際に注意したいのは通院頻度です。整形外科への通院頻度が少ないと通院慰謝料が少なく算定される危険があります。また、特に神経症状の後遺障害等級の認定においては、通院頻度も審査の対象とされることがあります。長期間通院しないでいると、保険会社から治療の必要性がないと判断されて治療費打ち切りを告げられてしまうケースもあります。

痛みが残っている場合や継続して治療の必要性がある場合は、必ず医師に相談の上、積極的に通院するようにしましょう。

骨折患部の画像検査等必要な検査を受けておく

変形障害が後遺障害として認定されるのは、鎖骨の変形が見られる場合です。そのため、事故直後から骨折患部をレントゲン、CT検査により撮影しておく必要があります。

また、機能障害は肩関節の可動域によって後遺障害等級が異なります。機能障害の認定を受けるためには可動域検査を受けておかなければなりません。また、画像検査は機能障害を医学的に証明するためにも重要です。

さらに、神経症状で12級を取得するためには、やはり、画像所見で痛みなどの自覚症状の根拠を医学的に証明する必要があります。そのため、ここでも画像検査は重要です。

症状固定は保険会社が単独で決めてよいものではない

これ以上治療を続けても治る見込みがない状態を「症状固定」と言います。症状固定の時期は医師の判断が事実上尊重されつつ、これに被害者と保険会社を加えた三者間でで決めることになっています。たとえ加害者側の保険会社が症状固定の時期について言及してきたとしても、保険会社だけで決められるものではないのですから惑わされる必要はありません。

鎖骨骨折では、変形障害についても機能障害についても、また神経症状についても、後遺障害等級の取得のためには6か月以上の通院治療が必要とされています。特に、「痛みが残っている」、「肩関節の動きが良くない」という場合には、症状固定が適切なタイミングになるように医師に症状をしっかり伝える必要があります。

鎖骨骨折の後遺症に悩む被害者のために弁護士ができること

一定の治療が終わっても骨折患部の痛みが続く場合は、後遺障害が認められる可能性があります。後遺障害等級を認めてもらうには、交通事故の後遺症に詳しい弁護士に相談するのがおすすめです。

鎖骨骨折の後遺症に悩む被害者のために、弁護士は以下のようなサポートができます。

  • ・医師と協議し、適切な内容の後遺障害診断書を作成する
  • ・面倒で煩雑な手続きを代行する
  • ・弁護士基準により慰謝料が増額できる

鎖骨骨折の後遺症に悩む被害者のために弁護士法人オールイズワンができること

弁護士法人オールイズワンでは、顧問医との協議やカルテの分析を通じ、機能障害や神経症状について医学的根拠を究明し、後遺障害診断の際、主治医に検査結果とともに当法人で検証した結果明らかとなった医学的根拠も後遺障害診断書に記載して下さるようお願いしています。

これにより、後遺障害診断書には、骨折患部の癒合状況に関する医学的意見や、手術時の術中所見、リハビリの遅れにより動きがよくならず機能障害が残った事実などが記載され、等級取得率は大きくアップしています。

等級取得後の交渉でも、顧問医の意見やカルテから拾える医学的根拠を随所に使用し、裁判基準100%での示談解決実績を多数積み重ねています。

<弁護士法人オールイズワンの力>

  1. ①顧問医相談・カルテ分析に基づく高精度の後遺障害診断書作成と驚異の等級取得率
  2. ②医学的意見を随所に使用した交渉で裁判基準100%での示談解決を実現

まとめ

交通事故の鎖骨骨折では、骨折患部の癒合がうまくいかないことによる変形障害や肩関節が思うように動かせない機能障害、痛みや違和感が続く神経症状といった後遺症が残る可能性があります。

しかし、ご自身の判断だけで保険会社と交渉を進めると適切な後遺障害等級の認定や正しい金額の賠償金が得られない可能性があります。入院中、治療中から早めに弁護士に相談してサポートを受けることが大切です。

勿論、弁護士に相談するのに遅すぎるということはありません。等級認定後、保険会社とどのように話したら良いのか分からないとか、保険会社の提示金額が正しいのかどうか分からないという場合には、まず、ご一報下さい。正しい賠償金の獲得に向け、力添え致します。