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交通事故で入院したときの損害賠償

交通事故で入院を余儀なくされた場合には、入院中にかかった治療関係費・慰謝料等の積極損害や、休業損害・逸失利益等の消極損害の賠償を請求することが可能です。

ただ、交通事故の損害額算定はルールがあらかじめ定まっています。また、訴訟に発展した場合には、裁判所は当該損害の賠償請求の可否について、判例を踏襲する傾向が比較的顕著に現れています。
そこで、交通事故により被った損害について、どのようなものが賠償請求の対象となり、どのような算定方法を用いて損害額が認められるのかを以下にまとめました。

入院中の治療関係費

入院中にかかった治療関係費の中には損害として賠償請求できるものがあります。もっとも、実費全てが損害として認められるわけではなく、必要かつ相当の範囲内でのみ損害として請求することができるにとどまります。 交通事故に遭われて入院したことで、支出を余儀なくされた入院中の治療関係費について、何が損害賠償請求の対象となるかがわからない場合には、弁護士に相談することが有効です。

入院治療費

入院治療費は”必要かつ相当な範囲”で実費が損害として認められます。具体的には、診察料、検査料、入院料、投薬料、手術料、処置料等が含まれますが、これらの費用は病院の診断書や診療報酬明細書等により立証します。

ただし、診療行為の医学的必要性や合理性が否定される「過剰診療」や、診療行為に対して報酬額が特段の事由なく、社会一般の診療費水準に比して著しく高額である「高額診療」については、”必要かつ相当な範囲”とはいえないため、損害として認められません。

また、入院治療費の請求については、事故日から3年以内の損害賠償請求権の時効が成立する前に行う必要があります。

個室・特別室の使用

医師の指示がある場合には、個室や特別室の使用にかかった費用を請求できます。また、症状が重篤であったり、特別室以外に空室がなかった場合にも、個室や特別室の使用にかかった費用を損害として請求できます。

裁判例上において、以下のケースで個室や特別室の使用が認められたことがあります。

  • 高次脳機能障害が原因で脱抑制症状があり、対人トラブルが発生していた場合
  • 治療のため話すことができず、文字のやり取りが必要である場合
  • 既往症の治療中に増悪・寛解を繰り返している中で事故に遭い、既往症の治療のため個室を使用する場合

入院雑費

入院雑費は、一般的に日額1,500円を基準として請求することが可能であると考えられています。

入院中に必要となる日用品(寝具、衣類、おむつ等)や栄養補給費(乳製品、栄養剤等)、通信費、新聞雑誌代のような文化費、家族通院交通費等が対象となります。

なお、個別の損害額が小さく立証も困難な場合には、日額1,500円を基準とし、入院期間に応じて算出する定額化がなされているのが現状です。

付添看護費

付添看護費とは、入院や通院に際して被害者の家族や職業付添人が被害者に付添ったことで生じた支出をいいます。入院付添費については、医師の指示があった場合やその他必要性が認められる場合に相当額が被害者本人の損害として認められます。

通常、職業付添人の場合は実費全額が、近親者の場合は日額6,500円が認められ、被害者の症状の程度によります。また、被害者が幼児、児童であるような場合に、1~3割の範囲で増額されることもあります。近親者の付添については、休業損害額を参考として認定される場合もあります。通院付添費については、その必要性が認められる場合に相当額が被害者本人の損害として認められます。

交通費

被害者の入退院等のために要した交通費は、タクシー利用が相当とされる場合を除いて公共交通機関の料金が損害として認められます。 裁判例によれば、タクシー利用が相当とされる例としては、 ・自宅から最寄り駅までの距離が遠い ・視力を失っているため盲導犬を連れている必要がある ・公共交通機関を利用しての移動が困難である ・顔面を負傷しているため人目が気になり公共交通機関を利用することが躊躇される などが挙げられます。

また、自家用車を利用した場合には、ガソリン代を1㎞あたり15円とし、その他必要に応じて高速道路料金や駐車場代等の実費相当額が損害となります。 なお、近親者の付添や見舞いのための交通費は原則として損害として認められないことに注意が必要です。ただし、近親者が遠隔地に居住し、付添や見舞いが必要かつ相当といえる場合には例外的に損害として認められることもあります。

器具・装具・義肢などの費用

器具や装具などについては、義歯、義眼、義手、義足、眼鏡、コンタクトレンズ、車いす、盲導犬、電動ベッド、介護支援ベッド、コルセット、サポーター折りたたみ式スロープ、歩行訓練器、歯・口腔清掃用具、吸引機、障害者用箸等の費用について、必要かつ相当な範囲で認められます。また、相当期間で交換の必要がある場合には、原則として将来費用も認められます。

その他

上記のほか、学生・生徒の学習費(授業料、通学定期代、保育料等)、家屋・自動車等改造費、葬儀関係費用(葬儀費用、墓石建立費等)、文書料(診断書料、照会費用、刑事記録謄写代等)、後見等関係費用、渡航費用(海外旅行中での事故等)、旅行キャンセル料等につき、必要かつ相当な範囲で損害として認められます。

また、交通事故により負った傷害を原因として転居を余儀なくされた場合には、事故との因果関係が認められる範囲で転居費用も請求できます。

休業損害

休業損害とは、事故に遭ってしまったために休業を余儀なくされ、それにより本来得られるはずであった収入が得られなくなったことをいいます。

実際に休業により得られなかった額が判明している場合には、その額が損害となります。他方で、額が判明していない場合には、事故前3か月の収入または賃金センサスを参考にした平均賃金を基礎収入として、休業期間(事故日から症状固定時までの期間で休業した日数)を乗じて算定されます。

休業損害は、給与所得者はもちろん、専業主婦のような家事従事者であっても損害が認められます。他方、被害者に減収がない場合や被害者が収入のない学生であるような場合には、原則として休業損害は認められません。

入通院慰謝料

入通院慰謝料(傷害慰謝料)とは、事故に遭ってしまったために入通院することを余儀なくされ、それにより被った精神的な苦痛を金銭化し、賠償してもらうものをいいます。

通常は、入通院期間をもとに、症状固定時までの慰謝料を「赤い本」の表から算定します。また、怪我の部位や程度等によっては、例外的に、上記の表で算定した金額から相当程度の増額が認められることもあります。

なお、ギプス固定などで安静にしている必要があるような期間であれば、自宅療養期間であっても、「入院」として扱われることがあります。

後遺障害が残った場合

後遺障害とは、交通事故を原因として負った傷害により身体に障害が残り、労働能力に制限を生じさせるものをいいます。

後遺障害が残った場合には、労働者災害補償保険法に基づく労災保険または自動車損害賠償保障法に基づく自賠責保険により、等級の審査がなされ、認められた等級に相応する補償を受けることができます。

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料とは、事故に遭ってしまったために後遺障害が残り、それにより被った精神的な苦痛を金銭化し、賠償してもらうものをいいます。日弁連交通事故相談センターが編集している「赤い本」には、あらかじめ後遺障害の程度(等級)ごとに慰謝料額が定められています。

通常は、「赤い本」に従い、後遺障害等級ごとに慰謝料額を算定します。入通院慰謝料が症状固定時までの慰謝料であったのに対し、後遺障害慰謝料は症状固定後の慰謝料です。

加害者側に故意・重過失、不誠実な態度がある場合や、より上位の等級に至らない場合などには、慰謝料増額事由として上記算定額から相当程度が増額されることもあります。

また、後遺障害の程度が重度の場合には、被害者の近親者(配偶者や子など)にも別途慰謝料請求権が認められることがあります。

逸失利益

逸失利益とは、将来得られたはずの収益で、事故に遭ってしまったために得られなくなった収益分をいいます。通常、逸失利益は以下の4事項を考慮して算定されます。

  • ①基礎収入・・・通常は事故前の収入が基礎となります。そのため、源泉徴収票等、事故前年の収入がわかる資料が必要です。また、収入額の立証が困難な場合には、賃金センサスを参考にして基礎収入が算定されることになります。
  • ②労働能力喪失率・・・通常、後遺障害等級ごとに定められた労働能力喪失率表(「赤い本」参照)をもとに算定されます。ただし、被害者の職業や年齢、性別等、様々な事情を考慮するため、多少の変動があります。
  • ③労働能力喪失期間・・・通常、症状固定日から67歳までの期間で算定されます。未就労者は原則18歳、未就労で大卒前提の場合は大学卒業時を始期とします。また、症状固定時に67歳を超えている場合や、症状固定時から67歳までの期間が平均余命の2分の1より短い場合、平均余命の2分の1が喪失期間となります。
  • ④中間利息・・・逸失利益は将来の長期間にわたる収入を一時金として支払う性質のものであるため、一定割合を利息として控除する必要があります。これを中間利息控除といい、労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数をもって算定します。

入院直後から弁護士に依頼するメリット

入院直後からより早い段階で弁護士が入ることにより、損害賠償金の獲得に向けたアドバイスを受けることができます。また、保険会社との交渉を弁護士が行うことで、適切な賠償額を請求することができます。

健康保険を使うか否かなど通院治療費の問題や、個室の使用料などについても、問題が生じたときに相談することができます。

特に、入院期間は入院慰謝料額に大きく反映しますので(“入通院慰謝料”をご参照下さい。)、退院問題については弁護士に相談しながら慎重に対処すべき場合もあります。

被害者本人による交渉では、適切な賠償額の請求をすることが困難なのが現状です。最適な賠償額を保険会社から支払ってもらえるよう交渉できるのは弁護士だけです。

入院中でお悩みの方・ご家族の方はオールイズワンにご相談ください

弁護士法人オールイズワンでは、事故直後に行うべき検査についてアドバイスを行っています。脳に損傷があった場合には、後日検査時の画像所見との比較に有効なMRIフレア、嗅覚に問題が生じている場合にはアリナミン検査、むち打ち症でしびれが生じている場合にはMRIや深部腱反射テストといった具合です。

また、オールイズワンなら、受任当初から転院の問題や将来の後遺障害診断の問題にも配慮しながらサポートすることができます。

さらに、被害者の容態に関することや手術のことなど、入院中に主治医の先生に聞きずらかったことや、看護士の方々が日頃被害者にしてくれていることの意味についても、代わりにお聞きするなどの方法によりご家族の不安を和らげることに努めています。

「一人で悩まずにもっと早く相談していれば良かった」という声も、お客様からよくお聞きします。どうぞ遠慮なくご相談下さい。