70代女性が横断歩道歩行中に自動車に轢かれ、脊柱変形障害を負い後遺障害併合7級を取得し2,761万円で解決した事例

後遺障害逸失利益として1,160万円を獲得!

70代女性が横断歩道歩行中に自動車に轢かれ、脊柱変形障害を負い後遺障害併合7級を取得し2,761万円で解決した事例

後遺障害逸失利益として1,160万円を獲得!
後遺障害内容・部位
診断名・症状名 腰椎圧迫骨折・左鎖骨骨折
後遺障害等級 併合7級
主な自覚症状

オールイズワンに後遺障害等級認定・示談交渉サポートを受ける前と
受けた後の違い

賠償項目 獲得金額
後遺障害慰謝料 1,000万円(裁判基準)
後遺障害逸失利益 1,160万円(裁判所基準超)
休業損害(主婦休損) 380万円(裁判所基準超)
傷害慰謝料 210万円(裁判所基準)
その他 11万円
合計 2,750万円(裁判所基準超)

ご依頼の経緯

本件は、横断歩道を歩行中、右折してきた自動車に轢かれ、さらに車体の下に巻き込まれてしまったひどい事故でした。事故から3年以上も残された症状に苦しまれながら通院を継続されている母を心配して、息子さんが当法人のホームページをご覧になりご依頼をされました。

 

結果(後遺障害部分)

被害者は脊柱のうち2つの腰椎椎体について圧迫骨折を負いました。認定要件上、脊柱の障害は「変形障害」と「運動障害」に大別されますが、被害者には変形障害が残存しました。

 

変形障害の審査では、1個1個の椎体についてどの程度の変形が生じたかが見られます。具体的には、特に楔状椎(椎体の前縁が潰れてしまう圧迫骨折)が多く生じることから、椎体の前方の高さと後方の高さの差を基準としています。また、個々の椎体が変形した結果として、脊柱全体に後彎や側彎が生じてしまった場合、それらについても基準に照らして審査が行われます。

 

本件の被害者はL2とL3(腰椎の2番目と3番目の椎体)について前方椎体高が減少しており、その正確な計測値を主治医に後遺障害診断書に書き入れていただいた結果、脊柱に後彎が生じたものとして、8級相当との評価を受けました。

 

なお、変形障害には第6級5号「せき柱に著しい変形を残すもの」と第11級7号「せき柱に変形を残すもの」の2つの等級が用意されていますが、この中間として第8級相当「せき柱に中程度の変形を残すもの」を加えた3段階で程度が評価されることになっています。

 

 

また、被害者は脊柱のほか鎖骨にも骨折を負っており、最終的にそれを原因とした肩関節の機能障害が残存してしまいました

関節の中には複数の方向に運動を行うものがありますが、等級審査においては、関節ごとに定められている「主要運動」の数値をもって評価するのが原則とされています。

本件被害者が障害を負った肩関節も、前方への運動である「屈曲」と横方向への運動である「外転・内転」の2種類が主要運動とされています。被害者はこの2種類のどちらも3/4以下の可動域制限を負ってしまったため、12級6号の評価を受けました。

 

以上により、被害者は脊柱の変形障害についての8級のほか、肩関節の機能障害12級の評価が加わり、結果として併合等級として1級が繰り上がった併合7級の等級認定をもって示談交渉に臨むことになりました。

 

 

示談交渉の経緯

 

本件被害者は受傷直後に1か月ほど入院し、さらにその後5年弱にわたる通院を要したため、全治療期間が非常に長期となりました。そのため、治療期間を基礎とする休業損害が争点の1つとなりました。

 

被害者は事故受傷時点で70歳手前のご年齢でしたが、ご自宅では家事を一手に引き受けており、それが満足にこなせなくなってしまったことは非常に大きな損害でした。

 

一般的に治療期間が長期にわたる場合の休業損害は、どこかの時点で支払が打ち切られてしまうケースが多い印象です。これは、障害が残存していたとしても、その程度が段々と軽減し慣れていくとの考えに基づくものです。しかしながら、被害者の場合は、脊柱に明らかに回復不能な器質的損傷が生じており、これは時間の経過で消失する類のものではありません。したがって、休業損害については、症状固定までの全期間、当然に認められるべきものと考えられます。

 

ただし、長期の治療期間において、その全期間について全く家事ができなかったわけではないという事情もあったため、逓減の理論を用いた論理的な請求を行い、結果として全期間の休業損害を認めさせることが叶いました。

 

また、逸失利益については、第7級を基礎としているにもかかわらず、保険会社からは労働能力喪失期間の短縮を打診されました。しかしながら、被害者は脊柱という身体支持の中心を担う部位に障害を負い、また、肩関節の機能障害については、等級としては12級であるものの、可動域制限の程度は健側の52.9%とほぼ10級に相当するものであり、喪失期間の短縮は到底承服できかねる提案でした。そのため、この点について強く交渉を行い、結果として適正な回答を得ることができました。

 

所感、争点

 

被害者が家事従事者であった場合、休業損害が争点になることが多いですが、本件では被害者がご高齢であったこともあり、保険会社はこれを認めることに難色を示しておりました。しかしながら、現実的には70歳を超えても家事を一手に担っている方は多くいらっしゃり、この点は給与明細のような形では立証できなくとも、適正に認められるべきと思います。

 

当法人では、家事従事者やご高齢の方の損害についても適正な評価が得られるよう、今後も模索を続けていきたいと存じます。