50代兼業主婦が自転車で横断歩道走行中に右折自動車に轢かれ、外貌醜状(顔の傷)で後遺障害12級を取得し920万円で解決した事例

後遺障害逸失利益として当初相手提示額の約4倍を認めさせ314万円を獲得!

50代兼業主婦が自転車で横断歩道走行中に右折自動車に轢かれ、外貌醜状(顔の傷)で後遺障害12級を取得し920万円で解決した事例

後遺障害逸失利益として当初相手提示額の約4倍を認めさせ314万円を獲得!
後遺障害内容・部位
診断名・症状名 顔面の醜状痕・右鎖骨遠位端骨折・右母指基節骨骨折
後遺障害等級 併合12級
主な自覚症状

オールイズワンに後遺障害等級認定・示談交渉サポートを受ける前と
受けた後の違い

賠償項目 獲得金額
後遺障害慰謝料 290万円(裁判所基準)
後遺障害逸失利益 314万円(裁判所基準超)
休業損害 183万円(裁判所基準超)
傷害慰謝料 165万円(裁判所基準)
その他 20万円
合計 972万円(裁判所基準超)
※5%の過失で920万円の認定

ご依頼の経緯

 

本件事故は、信号機のある交差点で発生しました。被害者は自転車で横断歩道上を進行していたところ、対向車線上より右手から右折してきた自動車に衝突され、自転車もろとも転倒しました。

事故から1か月程度経った頃に、ご主人が当法人のホームページをご覧になり相談のお電話をいただきました。

 

本件のような事故態様の場合、基本過失割合は自転車10%、自動車90%とされています。しかしながら、被害者はこの事故により顔面に消えない傷痕が残ってしまい、また、鎖骨や指を骨折するという大怪我を負ったこともあり、これに納得することはできませんでした。そこで、オールイズワンでは、道路状況等を踏まえ加害者に著しい過失があることを主張し、最終的に自転車5%、自動車95%の過失割合で示談を成立させることができました。

 

結果(後遺障害部分)

 

被害者は本件交通事故により右鎖骨と親指の骨折という大怪我を負いましたが、幸いにしてそれらに不整癒合は生じませんでした。しかしながら、同時に負った右眉横から前額部にかけての創瘢痕は症状固定時においても消失せず傷痕が残ってしまいました。

 

醜状痕は、過去には男性と女性で等級が異なっていた(女性の方が高い等級が設定されていた)時代がありましたが、現在においてはそのような取扱いは改められ、男女の差はなくなっています。

 

等級審査においては、残存してしまった醜状痕が瘢痕なのか、組織陥没なのか、又は線状痕なのかによって、それぞれに大きさ、長さの明確な基準が定められています。

 

これらのポイントを踏まえた後遺障害診断書を主治医にご作成いただいたこと、審査機関に対し面接を申し入れ傷の形状を正しく理解してもらうことができたことが功を奏し、被害者の醜状痕は要件を満たす線状痕として評価され、別表第二第12級14号と判断されました。また、骨折部については、骨癒合は不整なく得られたものの、患部の疼痛は依然残存していたため、これらについても等級認定を求めたところ、二つの第14級9号と併せて併合第12級をもって示談交渉に臨むことになりました。

 

示談交渉の経緯

 

本件の被害者の方について最上位等級の障害となったのが醜状痕でしたが、醜状痕については「逸失利益」の算定において非常に争点となりやすいのが実情です。

これは、例えば顔面に瘢痕が残ってしまったとして、それにより労働能力が低下することはないのではないかという保険会社の考え方があるためです。

確かに、疼痛や関節の可動域制限等が残存してしまった場合には、できなくなる業務があったり、就労を継続できる時間が短くなってしまったりと、その支障は明確です。他方、醜状痕の残存については、容姿を商売道具とする俳優やモデル等を職業としていない限り、明らかな労働能力の低下は確認されにくいという面は否めません。

しかしながら、例えば営業職の場合、態度や言葉には表されなくとも、取引相手に遠慮や不快感を持たれてしまい、結果として営業成績が低下するといった事態はあり得ます。また、自分の容姿に自信を持つことができなくってしまい、積極性を欠いてしまうといったことも想定されます。

したがって、醜状障害だからといって労働能力に影響がないものとして取り扱うのは早計であり、しっかりと逸失利益が認められて然るべきであるとオールイズワンは考えています。

 

本件においても、保険会社からの当初の提示は労働能力喪失率5%、労働能力喪失期間5年という、疼痛についての第14級を基礎としたものでした。つまり、醜状痕による逸失利益はゼロということです。

 

これに対してオールイズワンは、醜状障害がきたす支障を訴え、第12級として算定すべき旨を強く主張しました。この結果、当初に780,000円ほどの提示であった逸失利益は、最終的には約4倍の3,140,000円ほどまで増加させることに成功しました。

 

なお、その他の費目としては、休業損害について、当初60日間の提示をされていましたが、家事に支障があった期間がより長期であったことを粘り強く交渉し、最終的に3倍の180日分を認めさせることが叶いました。

 

また、傷害慰謝料、後遺障害慰謝料については、裁判外解決との理由でやはり裁判基準の9掛けの提示がなされましたが、この点も断固として譲らず、裁判基準100%の金額を認めさせることができました。

所感、争点

 

本件は後遺障害が醜状障害であったことが大きなポイントでした。

後遺障害制度は元を辿れば工場労働者をその対象とした時代からの制度であり、等級としては疼痛や機能障害、欠損障害、変形障害といったところが主なところとなっています。しかしながら、その後の時代変化もあり、近年では社会的行動障害を含む高次脳機能障害や、うつ病等精神障害のような障害についても、審査体制の拡充が図られているところです。

醜状障害についても、当初は男女差があるところからのスタートでしたが、これも時代に合わせて変化しています。他方で、顔に傷跡を負ったことで、女性の心の負う傷が時代とともに小さくなるわけではないことも歴然とした事実です。

このような経緯を踏まえ、オールイズワンでは賠償金についても、被害者の生活への支障がしっかりと考慮される算定方法が確立されていくことが望ましいと考えています。

また、発展途上の制度の中で、泣き寝入りを防ぐ活動を繰り返し、理想的な制度の構築を手繰り寄せたいと思っています。

当職としては、現状の制度下において可能な限り被害者の救済が図れるよう、今後も模索を続けていきたいと存じます。