むち打ち後の首の痛みについて14級を取得し、裁判基準以上の290万円で示談した事例
むち打ち後の首の痛みについて14級を取得し、裁判基準以上の290万円で示談した事例
後遺障害内容・部位 | 頚椎捻挫後の安静時痛 |
診断名・症状名 | |
後遺障害等級 | 頚椎捻挫後の安静時痛について14級9号を獲得 |
主な自覚症状 | 頚部安静時痛、運動時の上肢のしびれ、頚椎可動域制限 |
オールイズワンに後遺障害等級認定・示談交渉サポートを受ける前と
受けた後の違い
賠償項目 | 獲得金額 |
後遺障害慰謝料 | 120万円(裁判基準は110万円) |
後遺障害逸失利益 | 68万円※ |
合計額 | 188万円 |
※逸失利益 裁判基準どおり、5%の労働能力を5年間にわたり失ったという前提での賠償額です
☆上記は、損害賠償全体のうち、後遺障害部分のみであり、別途、傷害部分(傷害慰謝料、休業損害等)も取得しています。
ご依頼の経緯
やっとのことで、年金や保険などの社会保障がしっかりしているタクシー会社に就職でき、天職だと思っていたのに、事故のせいで、お客様を乗せて運転することなど全くできなくなってしまった。
保険会社に通院治療費を打ち切られ症状固定にすることになったが、この先どうすればよいのかと相談においでになりました。
結果(後遺障害部分)
被害者の方は、症状固定され、通院を終えられた後に相談に見えられました。通院期間は、事故から半年弱だったので、等級審査において、後遺障害等級14級の取得に必要とされている6か月間の通院要件を充たしていると判断されるかどうか微妙なところでした。
むち打ち症で後遺障害を取得するには、最低6か月間の通院が必要とされていますが、最近は、インターネット等を通じ、6か月間通った方が良いということを知っている方が増えたため、自賠責保険の審査において、6か月ギリギリだとマイナス評価になることがあるように見受けられるからです。
しかし、この方は、事故当初から首が痛くてたまらず、毎日のように整形外科に通院されていました。そのため、6か月弱しか通院していなかったとはいえ、その通院日数は、7か月、8か月通った方にもひけをとらないものでした。
そこで、被害者の方の通院先であった整形外科に同行して主治医の先生とお会いし、自覚症状欄に安静時痛のご記載を頂き、神経学的所見等頚部疼痛の医学的根拠として考えられることのご記載もお願いするなど、充実した後遺障害診断書をご作成いただくことができました。
この方は、MRI検査をされておられませんでした。頚椎神経症状の後遺障害等級審査においては、MRI画像所見は最も重要な医学所見です。したがって、検査をしていれば、必ず他覚所見欄に記載していただきます。
また、主治医の先生が、MRI検査をしようと判断された事実そのものも、等級審査においてプラス材料とされることがあります。
本件では、MRIはありませんでしたが、主治医の先生と相談し、X-p画像上明らかで、MRI検査の必要は認めなかったという体裁の後遺障害診断書にすることにしました。
勿論、X-p画像所見そのものは、神経症状の立証には全く不十分ですが、医師がMRI検査を不要と判断したのは、神経症状がないからではなく、MRI検査をするまでもなく神経症状が存在しているとわかるからだという主張を込めた診断書にしたのです。
以上の準備をもとに、後遺障害等級申請をしました。この方は、過去に整形外科への通院歴があり、既往症として評価される危険がありました。
案の定、等級審査中に自賠責保険から、既往症に関連する調査が入りました。
そこで、過去の通院歴と、事故による外傷性の頚部神経症状が全く別ものであることを訴える主張の準備を開始していたところ、主治医の先生が、簡にして要を得た的確なご回答を準備して下さったため、ひとまずこれを自賠責保険に提出しました。
すると、それから暫くして、後遺障害14級認定の通知が届きました。思わず大きな声をあげ、所員一同、喜び合いました。
その後、準備に準備を重ね、被害者の方が味わった苦痛、一度復職したが全く仕事にならず、二度とは戻れなかったことなどを訴えた陳述書なども用意した上、示談交渉に入りました。
相手には既に弁護士がついており、訴訟リスク(訴訟になったら、こちらの請求どおりの金額を裁判所が認定する可能性)を正しく評価していただき、当初の回答から、ほぼ裁判基準の回答を得ました。
しかし、休業損害の点などについて、減額主張をされていたので、被害者の方と電話で相談しながら短期間で反論を組み立て、2度、3度、応戦しました。
また、最後まで、被害者の方が、この事故で、天職とまで思っていたタクシー運転手の職を辞さなければならなかったことを強く訴えました。
これにより、後遺障害慰謝料について、裁判基準を超える120万円の提示を受け、その他の部分も裁判標準で示談することができました。
所感、争点
被害者の方が、将来の保障もしっかりしており、「これしかないと思った」とおっしゃるタクシー運転手の職を辞さなければならなかったことを、何とか形にして示談したいという思いで取り組んできた案件でした。
そのためには、如何に、通院期間やMRI検査不施行とった障壁があるにしても、何としても後遺障害14級を取得する必要がありました。後遺障害等級が付くか付かないかで、200万円近く違ってきてしまうからです。
被害者の方は、症状固定後も、整骨院や、マッサージなど、ご自分で少しでも身体が楽になる方法を見つけられ、繰り返し試しておいででした。そのため、事故前はかからなかったお金がかかり、安定収入もなくなり、苦境に立たされていました。
「絶対に負けない」。
そんな思いで臨み、等級申請、示談交渉とも、死力を尽くして取り組んだ結果、無事、14級を獲得し、異例とも言える裁判基準超えの金額で示談成立となりました。
被害者の方のお顔を思い浮かべ、振り返ると胸が熱くなる。そんな案件になりました。