解決実績

半月板損傷後の膝の痛みについて12級を取得し、損害額913万円の認定を受けた事例

半月板損傷後の右膝関節痛について12級を取得し、損害額913万円(治療費等既払い金を除く)の認定を受けた事例

半月板損傷後の膝の痛みについて12級を取得し、損害額913万円の認定を受けた事例

半月板損傷後の右膝関節痛について12級を取得し、損害額913万円(治療費等既払い金を除く)の認定を受けた事例
後遺障害内容・部位 右膝半月板切除術後の右膝関節の疼痛、腫脹、熱感
診断名・症状名
後遺障害等級 12級
主な自覚症状 右膝半月板損傷

オールイズワンに後遺障害等級認定・示談交渉サポートを受ける前と
受けた後の違い

賠償項目 獲得金額
後遺障害慰謝料 290万円(裁判基準)
後遺障害逸失利益 440万円(裁判基準超)※1 ※2
傷害慰謝料 40万円(裁判基準)※3
休業損害 200万円(裁判基準超)
合計額 913万円
(2割過失認定事案のため、取得額は760万円)
※1基礎年収  3,547,200円(兼業主婦)
※2逸失利益  裁判所では、本件のような場合に、10年分の労働能力喪失しか認めない場合が多いのですが、上記は12年分に相当します。さらに本件では、兼業主婦の休業損害について、裁判所の認定相場が80万円程度のところを200万円の認定を受けており、差額の120万円も併せると、実質的に17年分(65歳まで)の逸失利益を取得したことになります。
※3傷害慰謝料 本件では、退院後は経過観察で時々通院するだけであったことから、通院実日数の3.5倍を基礎に計算することになります。

ご依頼の経緯

交通事故で痛めた膝の治りが悪く、後遺障害が残ることになりそうだが、この先どうして良いか分からないと、相談にいらっしゃいました。

結果(後遺障害部分)

本件では、被害者の方が、自転車走行中に右方向から進行してきた自動車と接触し、その際に右膝を強打したことにより、右膝半月板を損傷する怪我を負いました。 
半月板損傷と言うと、大怪我という気がしますが、膝蓋骨骨折などの骨傷がなく、半月板のような軟骨組織損傷のみという場合、痛みやしびれ、可動域の制限といった後遺障害が残ったときに、半月板損傷を、その痛みやしびれの医学的根拠として評価してもらうのは、意外と難しいものです。

 

本件で取得した12級というのは、痛みなど残った症状について、医学的に証明できた場合にのみ認められる等級です。医学的証明ができなければ、後遺障害等級は、14級か非該当ということになり、賠償金は、14級でも12級の3分の1以下になってしまいます。

 

そこで、本件の後遺障害等級申請にあたり、私は、右膝関節痛の医学的根拠を明確にするため、主治医との面談を申し出ました。
本件では、右膝半月板損傷について部分切除術という術式で手術が行われていました。半月板を損傷したときの手術には、縫合術と切除術がありますが、社会復帰までの時間が短くて済む切除術によることが多いようです。今回は、この部分切除術が痛みの原因となっていることが、面談を通じ明らかになりました。

 

自賠責保険の後遺障害等級認定でも、提出した画像上、右膝関節痛は半月板の部分切除に起因するものと捉えられ、他覚的に神経系統の障害が証明されるものと捉えられると認められ、12級13号に該当すると認定されました。

示談交渉の経緯

示談交渉において、私は、数字の上で、後遺障害逸失利益をできるだけ長期間に相当する分を認めさせたいと思っていました。勿論、目標は損害賠償の世界において基本的に稼働年齢の上限と考えられている67歳までです。

 

保険会社は、可動域制限を伴わない痛みについて12級の認定を受けている場合、裁判所の判断は10年間の認定に留まることが大半であることを盾に、それ以上は認めようとしませんでした。

 

しかし、被害者の方は、将来、変形性膝関節症を患うリスクの高さを主治医から告げられ、将来に対し大きな不安を抱えておられました。
他方で、本件では裁判所に持って行った場合、兼業主婦の休業損害の認定を受けるには支障があり、少なくとも、高額認定を受けることは困難でした。

 

そこで、私は、兼業主婦の休業損害を積み増すことにより、実質的に67歳までの後遺障害逸失利益を示談で確保するという方策に出ました。
これにより、本件のようなケースにおける兼業主婦の休業損害認定相場の倍以上の損害額の認定を受け、一方で、後遺障害逸失利益は12年分相当額の認定を受けたことから、併せて67歳までとはいきませんでしたが、実質的に17年分、65歳までの後遺障害逸失利益の認定を受けることができました。

所感、争点

医学書によっては、半月板損傷単体では後遺障害が残ることはないと書かれているくらい、交通事故で、骨折などを伴わない半月板損傷を負い、6か月以上通院治療を続けても痛みや可動域の制限が残った場合、半月板損傷をその医学的根拠と認めさせるのには困難を伴います。
当弁護士法人では、後遺障害12級を取得できた事案では、14級の裁判標準の4倍程度の賠償金を取得しているケースが多く、被害者の方に残された痛みと悩みを聞くに付け、何としても12級を取得していただきたい一心でした。

 

結果的に12等級取得に成功し、本件を振り返るにつけ、やはり、医学的根拠をきちんと把握した上で等級申請して本当に良かったと思います。
また、示談交渉についても、12級の裁判標準とされている、労働能力喪失期間10年の壁を破ることに成功し、ホッと胸を撫で下ろしました。

 

医学的問題を取り扱えること、裁判標準を意識しつつも、いわゆる「相場」とされる標準に惑わされることなく示談交渉を遂行できることが、弁護士として、被害者の方々を救うためにどうしても必要となるスキルであることを再認識した案件でした。