
20代女性が自転車で走行中に自動車と衝突した事故で後遺障害11級を取得し1,500万円で解決した事例

20代女性が自転車で走行中に自動車と衝突した事故で後遺障害11級を取得し1,500万円で解決した事例
後遺障害内容・部位 | 脊柱の変形 |
診断名・症状名 | 第1腰椎圧迫骨折、右足第1趾基節骨骨折 |
後遺障害等級 | 後遺障害11級7号 |
主な自覚症状 | 骨折患部の疼痛 |
当弁護士法人後遺障害等級認定・示談交渉サポートを受ける前と
受けた後の違い
賠償項目 | 獲得金額 |
後遺障害慰謝料 | 420万円(裁判所基準) |
後遺障害逸失利益 | 1,150万円(裁判所基準超) |
傷害慰謝料 | 115万円(裁判所基準) |
合計 | 1,685万円(裁判所基準超) |
ご依頼の経緯
本件事故は、住宅街の中にある交差点で発生しました。この交差点はブロック塀や生垣により見通しが困難なため、自動車においてはより慎重な安全確認が必須な場所でしたが、加害車両は漫然と20~30㎞/hの速度で交差点に進入し、加害車両から見て左方から進行して来た被害者運転の自転車に衝突しました。
被害者は衝突により数秒ほど意識を喪失し、さらに、後に後遺障害として残存した腰椎圧迫骨折や右足第1趾基節骨骨折といった重傷を負うほどの大きな衝撃を身体に受けました。
しかし、相手保険会社の対応がひどいこと、さらに被害者本人も母親も今後の先行きに大きな不安を感じられ、母親からの相談を受け、受任をさせていただきました。
本件のような事故態様の場合、基本過失割合は自転車20:自動車80とされています。しかしながら、被害者としては加害者の誠意のない対応に心を痛めており、これに納得することはできませんでした。被害者の思いを受け、オールイズワンでは、道路状況等を踏まえ加害者に著しい過失があることを主張し、最終的に自転車10、自動車90の過失割合で示談を成立させることができました。
結果(後遺障害部分)
本件事故で被害者が負った怪我のうち、腰椎圧迫骨折については後遺障害として症状が残ってしまいました。
被害者は脊椎(背骨)の中でも腰の位置にある5つの腰椎のうちの一番上、第1腰椎に骨折を負いました。圧迫骨折を生じやすい椎骨の一つですが、被害者の場合、椎体の前方の高さが後方に比べて減少する楔状椎という型の骨折でした。楔状椎で後遺障害が認められる基準は明確に定められてはいませんが、概ね前方椎体高の25%減少が目安とみられています。被害者の場合はこれを満たしておりました。
なお、圧迫骨折は骨粗しょう症等を原因として生じることもありますが、受傷初期の圧壊の進行等から、そのような場合と外傷性との判別が可能です。オールイズワンでは、このような判別のため、受傷後の定期的なMRI検査をお勧めしています。
これらのポイントを踏まえ、被害者の場合は外傷性の腰椎圧迫骨折として後遺障害等級が認定されました。
示談交渉の経緯
本件では、主に①後遺障害逸失利益と②慰謝料が争点となりました。
①後遺障害逸失利益
被害者は事故受傷当時、薬学部に在籍する学生であり、将来的には薬剤師となることがほぼ確実でした。しかしながら、あくまで事故時点では就労前であったため、加害者側任意保険会社からの当初の提示は、基礎収入の額を「賃金センサス 女性 大卒 年齢別(20~24歳)」の平均年収額である3,000,300円としたものでした。
被害者は、その後実際に国家試験に合格し、晴れて薬剤師として働きだしました。そのため、当職は、被害者の基礎収入額には薬剤師の平均賃金を採用すべきことを強く主張しました。
また、保険会社の当初提示では労働能力喪失期間を10年に限るというものでした。これについては、判例上では、就労可能年数の上限の原則とされている67歳よりも前の時点で切ってしまった例がないことを根拠として、67歳までしっかりと算定するよう併せて求めていきました。
このような経緯により、最終的には、基礎収入額は薬剤師の平均賃金として100万円以上の増額となり、また、労働能力喪失期間は67歳までとして計算した金額で示談を迎えることができました。
②慰謝料
本件においても、保険会社の主張として多く見られる「満額の80%」の金額を当初は主張されました。しかしながら、被害者の場合、後遺障害等級が認められた腰椎圧迫骨折のほか、事故時は意識喪失をきたした頭部外傷も併発しており、もしこれが重篤であれば薬剤師への道が断たれていた可能性がありました。このような大事故において、特段の根拠がない減額は到底受け入れることができず、傷害慰謝料については満額の採用を強く主張しました。
交渉の結果、傷害慰謝料は減額されることなく100%の金額を認めさせることができました。
後遺障害慰謝料についても満額の認定を受け、結局、慰謝料すべて裁判基準100%での解決を実現することができました。
所感、争点
本件では、被害者が将来的に大きな収入を得る蓋然性が高いものの、事故受傷時点では学生であることがポイントとなりました。基礎収入額は、原則としては実収入を基にしますので、学生や休職中の方、休職明けで本来の収入額より低額な収入しか得ていないタイミングで事故に遭ってしまった方等は、逸失利益の算定で不適当な提示をされてしまうことが多々あります。
このようなケースでいかに適正な金額を示談交渉時に認めさせることができるかは、損害認定額を大きく左右するものであり、極めて重要です。今後も交渉技術を磨き、被害者に有利な認定を受ける方法を模索し続けていきたいと考えています。
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