高次脳機能障害SOS

交通事故で性格が変わった?高次脳機能障害との関係や認定される後遺障害等級について解説

交通事故に遭った被害者が、以前よりも「怒りっぽくなった」「無気力になった」「子どもっぽくなった」というように、性格が変わるケースも決して珍しくありません。そんなときは、高次脳機能障害を発症している可能性があります。

高次脳機能障害は外からは見えない障害であるため、周囲からは「怠けている」「わがままだ」などと誤解されがちです。しかし、高次脳機能障害による後遺症で性格が変わったのであれば、後遺障害認定を受けて適正な賠償金を請求すべきです。

この記事では、交通事故で性格が変わる原因や、高次脳機能障害による性格変化の具体例を紹介した上で、後遺障害認定を受けるためのポイントも解説します。

交通事故で性格が変わる原因

交通事故によって性格が変わる医学的な原因として、主に次の3つが挙げられます。

高次脳機能障害

交通事故で頭部に強い衝撃を受けると、高次脳機能障害を発症し、認知機能に障害が生じることが少なくありません。

これは脳の損傷を原因とするものであり、特に思考・判断・意欲・感情コントロールなどを司る前頭葉が傷ついた場合には、性格や人格が事故前とはまったく変わったようになってしまうこともあります。

心的外傷(PTSD)

脳や身体に顕著な損傷が残らなくても、交通事故による強いショックや恐怖体験が精神的なトラウマとなり、心的外傷(PTSD)を発症して性格が変わってしまうこともあります。

具体的には、事故の光景がフラッシュバックしたり、強い不安感や不眠などが続いたりして、「イライラしやすくなった」「過剰に怯えるようになった」「意欲が低下した」などの性格変化が多く見受けられます。

自律神経の乱れ(むちうち等による影響)

追突事故などで身体に強い衝撃が加わることにより、むちうち(頚椎捻挫)を発症するケースは多いですが、それが元で性格が変わることも珍しくありません。

特に、首へのダメージによって神経が圧迫されるなどして自律神経に乱れが生じると、慢性的な頭痛やめまい、不眠、倦怠感などに悩まされることも多いです。このような体調不良が長期化すると精神的に余裕がなくなり、感情が不安定になったり、うつっぽくなったりしやすい傾向にあります。

高次脳機能障害とは

高次脳機能障害とは、脳の損傷が原因となり、記憶力や注意力、判断能力、言語能力、感情のコントロールなどの認知機能に障害が生じ、日常生活や社会生活に支障をきたす状態のことです。

交通事故でも、脳挫傷や急性硬膜下血腫、びまん性軸索損傷などの頭部外傷に伴い、高次脳機能障害を発症することがあります。

認知機能の障害は外見から分かりづらいため、周囲からは「性格が変わってしまった」と誤解されることも少なくありません。

高次脳機能障害による性格変化の具体例

高次脳機能障害の症状にはさまざまなバリエーションがありますが、ここでは「性格が変わった」と感じる症状の具体例をご紹介します。

感情をコントロールできなくなる

感情をコントロールする機能が損なわれると、感情をストレートに現すようになるため、以前とは性格が変わったように感じることがあります。

  • 以前は温厚だったのに、些細なことでイライラするようになった
  • 思いどおりにならないと激怒して、大声を出すようになった
  • 興奮しやすくなり、暴力を振るうようになった

このような変化により、周囲の人が対応に苦慮することも多いです。

欲求を抑制できなくなる

自分の本能的な欲求や衝動を抑えることが難しくなり、後先考えずに短絡的な行動をとってしまうケースも見受けられます。

  • 他人の迷惑を省みず、自分の要求を執拗に通そうとする
  • 言ってはいけないきつい言葉や、下品な言葉を場所を選ばず口にする
  • 欲しいものを我慢できずに買いあさるなど、浪費してしまう

周囲の人から見ると、「わがままになった」「だらしなくなった」などと感じられることが多いです。

特定の行動に依存・執着する

一つのことへのこだわりが異常に強くなり、柔軟な対応や節度を保った社会生活が難しくなるケースもあります。

  • パチンコなどのギャンブルや、ゲームなどにのめり込む
  • 同じ話を何度も際限なく繰り返す
  • 毎日決まった時間に、決まった順番で物事を行わないと気が済まない

依存症に陥ったかのように感じられることも多いですが、その本質は、脳の損傷による認知機能の障害です。

意欲や自発性が低下する

事故前と比べて意欲や自発性が低下し、「やる気のない人間」に変わったように感じられるケースも多いです。

  • 仕事や趣味に対する興味を一切示さなくなる
  • 食事をする、風呂に入る、着替えるなど生活に不可欠な行為すら面倒くさがる
  • 一日中テレビを見るなどして、ぼーっと過ごすようになる

職場で周囲の人がサポートしようとしても、本人の意欲が湧かないために仕事が続かず、社会復帰が難しくなることもあります。

対人関係で適切な対応ができなくなる

相手の立場に立って考えることが難しくなることから、対人関係で適切な対応ができなくなるケースも見受けられます。

  • 空気が読めなくなり、場の雰囲気にそぐわない言動が目立つ
  • 他人への配慮や思いやりがなくなり、自己中心的な態度をとる
  • 相手が傷つくことを面と向かって平気で口にする

仕事関係だけでなく、友人関係や家族、親戚との人間関係でも適切に対応できず、社会的に孤立してしまうこともあります。

高次脳機能障害による性格変化で認定される可能性がある後遺障害等級

高次脳機能障害による性格変化は、「精神の障害」あるいは「神経系統の機能障害」として、後遺障害に認定される可能性があります。

交通事故による後遺障害は1級~14級の14段階に分類されており、審査では症状の内容や程度を踏まえて判断されます。ただし、性格の変化だけでなく、記憶障害や注意障害、身体の麻痺、局部の神経症状なども含めて、総合的な考慮により後遺障害等級が決定されます。

具体的には、以下に掲げる後遺障害等級のどれかに認定される可能性があります。

後遺障害等級 認定基準 具体的なケース
1級1号
(要介護)
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの 高度な認知障害や行動障害があり、常時監視や介護が必要な場合
2級1号
(要介護)
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの 日常生活の基本動作はできるが、1人で外出することなどが困難であり、随時監視や介護が必要な場合
3級3号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの 介護や周囲の声かけは不要だが、著しい行動障害のため一般的な就労が不可能な場合
5級2号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの 単純な作業はできるが、一般人と比べて作業能力に著しい制限があり、職場で特別な配慮が必要な場合
7級4号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの 一般就労が可能だが、ミスが多いなど作業能力に制限があるため、職種や作業内容が限定される場合
9級10号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの 一般就労は可能だが、作業効率や持続力などに問題がある場合
12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの 通常の就労に問題はないが、作業能力の軽微な低下があり、脳損傷を医学的に証明可能な場合
14級9号 局部に神経症状を残すもの 作業能力の軽微な低下があり、多角的所見はないが事故による性格変化などの症状を医学的に説明可能な場合

適正な後遺障害等級を獲得するためのポイント

高次脳機能障害による性格変化は外見からは分かりにくいため、身体的な後遺障害と比べて、認定を受けることが難しい傾向にあります。そこで、適正な後遺障害等級を獲得するためには、以下の3つのポイントを押さえることが重要です。

専門医による詳しい検査を受ける

後遺障害等級認定の審査は、原則として書面のみで行われます。そのため、障害の内容を証明できる医学的証拠をそろえることが必要です。

具体的には、脳神経外科や精神科などで、高次脳機能障害の診断に精通した専門医の診察を受け、脳の損傷を確認するためにCTやMRIなどの画像検査を受けます。

それと併せて、認知機能の障害や性格変化を証明するために、各種の神経心理学的検査も受ける必要があります。

日常生活状況報告書を的確に作成する

本人の性格変化の状況を、医師が短時間の診察で詳細に把握することは困難です。そのため、家族が作成する「日常生活状況報告書」により、どのような性格変化が生じたのか、日常生活や就労にどの程度の支障が生じているのか、などを証明する必要があります。

この日常生活状況報告書には、単に「性格が変わった」などと抽象的に記載するのではなく、具体的なエピソードをなるべく詳細に記載することが大切です。

被害者請求を検討する

後遺障害認定の申請方法には、相手方の任意保険会社に任せる「事前認定」と、被害者側で書類を収集して手続きを行う「被害者請求」の2種類があります。

高次脳機能障害のように、目に見えにくく立証が難しいケースでは、被害者請求を行う方が有利になる傾向があります。

事前認定の場合は、基本的に必要最低限の書類しか提出されません。しかし、被害者請求によれば、検査結果や日常生活状況報告書に加えて、医師の追加の意見書やリハビリの記録など、自由に資料を収集して提出できるため、適正な後遺障害等級に認定される可能性を高めることができます。

高次脳機能障害で請求できる損害賠償金の相場

ここでは、高次脳機能障害で後遺障害に認定された場合に請求できる主な損害賠償金について、相場をご紹介します。何級の後遺障害によって賠償金の額が大きく異なりますので、適正な後遺障害等級を獲得することが極めて重要です。

後遺障害慰謝料

後遺障害に認定されると、治療期間に応じて支払われる入通院慰謝料とは別に、後遺障害慰謝料を請求できます。その金額の目安は、以下のように後遺障害等級に応じて定められています。

後遺障害等級 自賠責基準 弁護士基準
1級1号
(要介護)
1650万円 2800万円
2級1号
(要介護)
1203万円 2370万円
3級3号 861万円 1990万円
5級2号 618万円 1400万円
7級4号 419万円 1000万円
9級10号 249万円 690万円
12級13号 94万円 290万円
14級9号 32万円 110万円

逸失利益

逸失利益とは、後遺障害によって労働能力が低下し、将来得られるはずだった利益を得られなくなった減収分に対する賠償金です。具体的な金額は、次の計算式によって算出されます。

逸失利益=事故前の基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

労働能力喪失率は、後遺障害等級に応じて5%~100%の範囲内で定められています。

重大な後遺障害に認定された場合には、逸失利益が数千万円から1億円以上に上ることもあります。

将来の介護費

1級(要介護)や2級(要介護)に認定された場合には、将来的に必要となる介護費も請求できます。

3級以下の後遺障害では、原則として将来の介護費は認められませんが、具体的な症状や日常生活の状況によっては、一定の限度で認められる可能性もあります。

交通事故による性格の変化で弁護士に相談するメリット

交通事故後に性格が変わってしまったと感じたら、損害賠償請求を弁護士に依頼することを強くおすすめします。専門的なサポートを受けることで、以下のメリットが得られます。

  • 性格変化の原因が高次脳機能障害であるか判断するためにアドバイスが受けられる
  • 治療やリハビリの適切な受け方についてアドバイスが受けられる
  • 医学的証拠の収集をサポートしてもらえる
  • 日常生活状況報告書の作成をサポートしてもらえる
  • 被害者請求の手続きを代行してもらえる
  • 後遺障害認定後の示談交渉を任せられる
  • 弁護士基準で慰謝料を請求してもらえるため、賠償金の大幅増額が期待できる

まとめ

交通事故後に性格が変わってしまっても、後遺障害であることに気づかず、見過ごされることも少なくありません。

高次脳機能障害は、外見から分かりにくい障害であるため、専門医による詳しい検査を受け、的確な診断を受けることが大切です。

高次脳機能障害との診断を受けたら、賠償金で損をしないためにも、適正な後遺障害等級を獲得するために被害者請求での認定申請を検討しましょう。

オールイズワンでは交通事故による後遺症を専門的に取り扱っており、特に高次脳機能障害など重大事故の解決実績が豊富にあり、絶対的な強みを持っています。

高次脳機能障害をはじめとして、交通事故後の性格変化でお困りの方は、お気軽に当事務所へご相談ください。

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