バイク事故で寝たきりに!家族がやるべきことと慰謝料や示談交渉の注意点
バイク事故では、被害者の方が頭部や脊髄などに重大な傷害を受け、後遺症で寝たきりになってしまうケースがあります。
ご家族の方は、介護のために労力や費用の面で大きな負担を抱えてしまうことでしょう。そのため、せめて十分な損害賠償金を獲得することが大切です。
この記事では、バイク事故で被害者が寝たきりになったときに、家族がやるべきことと、請求できる慰謝料の相場、示談交渉における注意点について解説していきます。
バイク事故で家族が寝たきりになった場合にやるべきこと
バイク事故で被害者の方が寝たきりになったとき、ご家族の方がやるべきことは以下のとおりです。
十分な治療を受けさせる
まずは、十分な治療を受けさせましょう。
バイク事故で頭部や脊髄を損傷したとしても、治療の経過次第では回復する可能性もあります。急性期に専門性の高い病院で適切な治療を受けさせるとともに、リハビリにも根気強く取り組ませることが大切です。
仮に寝たきりの状態が続くとしても、十分な治療を受けさせたことが、入通院慰謝料の請求や、後遺障害等級の認定の際に重要なポイントとなります。
後遺障害等級の認定を受ける
治療を継続して症状固定を迎えたら、後遺障害等級の認定を受けましょう。
症状固定とは、怪我の症状が変化しなくなり、それ以上は治療を続けても改善が見込めなくなった状態のことです。症状固定かどうかは、主治医が判断します。
後遺障害等級の認定を受けてはじめて、後遺障害に関する賠償金を請求できます。最終的に受け取れる賠償金の額が大きく変わるため、適正な後遺障害等級の認定を受けることは極めて重要です。
自宅介護か施設介護かを決める
寝たきりの状態から回復が見込めなくなった場合は、自宅でご家族が介護していくのか、介護施設を利用するのかを決めましょう。
慌てて決める必要はありませんが、自宅介護か施設介護かによって加害者側に請求できる賠償金の額が変わりますので、示談交渉を始める前に決めた方がよいといえます。
将来にわたって介護を続けることは大変なので、ご家族にとって無理のない選択をすることが大切です。
成年後見人の申し立て
バイク事故による遷延性意識障害や高次脳機能障害などで、判断能力が欠如または低下している場合、損害賠償請求という法律行為を行うためには、法定代理人が必要となることがあります。
被害者本人が成人している場合には、成年後見人の選任が必要です。
成年後見人の要否の判断や申し立ての手続きには専門的な知識を要しますので、早めに弁護士に相談して検討した方がよいでしょう。
保険会社との示談交渉
加害者が任意保険に加入している場合は、その保険会社と示談交渉を行います。
バイク事故で寝たきりになったケースの賠償金は高額となる傾向にありますが、それだけに、保険会社は少しでも支払額を抑えようとして、不当に低額の示談案を提示してくることがほとんどです。
保険会社の言うことを鵜呑みにして示談に応じると損をする可能性が高いので、示談案を提示された時点で一度、弁護士に相談することをおすすめします。
バイク事故で寝たきりになった場合の後遺障害等級
1級(要介護)
バイク事故による遷延性意識障害や高次脳機能障害などで、一人では身の回りの処理が行えなくなった場合は、「神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの」として、自賠責保障法施行令別表第一の後遺障害1級に認定されます。
後遺障害1級は、14段階ある後遺障害等級の中で最も重いものであり、賠償金も最も高額となります。
2級(要介護)
寝たきりとなっても、自宅内での身の回りの処理は自分で一応できる状態となることもあるでしょう。
しかし、1人で外出することが困難で、随時他人の介護を必要とする場合は、「神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの」として、自賠責保障法施行令別表第一の後遺障害2級に認定されます。
後遺障害2級は1級に次いで重い後遺障害等級であり、賠償金も1級の場合に準じて高額となります。
バイク事故で寝たきりになった場合の慰謝料の相場
バイク事故で寝たきりになった場合には、次の3種類の慰謝料を請求できる可能性があります。
それぞれ、内容と相場について解説します。
入通院慰謝料
入通院慰謝料は、交通事故で怪我をしたことによる精神的苦痛に対する賠償金です。慰謝料額は、治癒または症状固定までの治療期間の長短に応じて計算されます。
ただし、慰謝料の算定基準には自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準の3種類があり、基準ごとに慰謝料額が異なることに注意が必要です。
ここでは、治療期間(入院期間)1年のケースで、各基準による慰謝料額を比較してみましょう。
自賠責基準 | 任意保険基準 | 弁護士基準 | |
---|---|---|---|
慰謝料額 | 156万9,500円 | 184万円 | 321万円 |
※任意保険基準は非公開のため、推定値です。
後遺障害慰謝料
後遺障害慰謝料は、怪我が完治せず後遺症が残ってしまったことによる精神的苦痛に対する賠償金です。慰謝料額は、後遺障害等級ごとに定められています。
後遺障害1級および2級に認定された場合に受け取れる後遺障害慰謝料の金額は、以下のとおりです。
自賠責基準 | 任意保険基準 | 弁護士基準 | |
---|---|---|---|
1級(要介護) | 1,650万円 (1,850万円) |
1,650万円 | 2,800万円 |
2級(要介護) | 1,203万円 (1,373万円) |
1,203万円 | 2,370万円 |
※自賠責基準の()内は、被害者に被扶養者がいる場合の金額です。
※任意保険基準は非公開のため、推定値です。
近親者慰謝料
近親者慰謝料は、重篤な後遺障害が残った場合に、被害者本人の慰謝料とは別に認められる慰謝料です。
バイク事故で被害者が寝たきりになったようなケースでは、介護に当たる近親者にも大きな負担がかかることから、裁判例上、近親者固有の慰謝料が認められた事例が多数あります。
慰謝料額はケースバイケースですが、介護に当たる近親者1人につき数百万円が認められることが多いです。
寝たきりになった事故で慰謝料以外にもらえる賠償金
後遺障害等級に認定された場合には、慰謝料とは別に「逸失利益」も請求できます。
逸失利益とは、交通事故の影響で後遺障害が残らなければ将来得られたはずの収入などの利益のことです。逸失利益の金額は、次の計算式で算出されます。
基礎収入額×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
「基礎収入額」は、基本的に事故前年の年収額です。
「労働能力喪失率」は、後遺障害1級の場合も2級の場合も100%です。
「労働能力喪失期間」は、基本的に「67歳-症状固定時の年齢」です。
その他にも、以下の賠償金を請求できる可能性があります。該当する損害項目については、漏れなく適正な金額を請求しましょう。
賠償項目 | 内容 |
---|---|
治療関係費 | 怪我の治療のために必要な治療関係費は、基本的に保険会社から医療機関へ直接支払われます。 後遺障害が重篤な場合は将来の治療費や手術費を別途、請求できる可能性があります。 |
付添看護費 | 近親者が付き添う場合は1日当たり6,500円(弁護士基準の場合)、ヘルパーなど職業付添人に依頼する場合は実費全額を請求できます。 |
将来の介護費 | 近親者が介護していく場合は1日当たり8,000円(弁護士基準の場合)、ヘルパーに依頼する場合や介護施設に入所する場合は基本的に実費全額を請求できます。 |
入院雑費 | 入院中に必要となる日用品の購入費用などの雑費について、1日当たり1,500円(弁護士基準の場合)を請求できます。 |
通院交通費 | 重篤な怪我の場合は、近親者付添人の通院交通費も請求できる可能性が高いです。 |
装具・器具等の購入費 | 車椅子、電動ベッド、その他の介護器具が必要となった場合の購入費や、定期的な買い換え費用も請求できます。 |
家屋・自動車等改造費 | 家屋や自動車をバリアフリー仕様などに改造する必要が生じた場合にかかる費用も請求できます。 |
休業損害 | 交通事故による怪我のために働けなくなり収入が減った場合に、減収分の補償が受けられます。寝たきりになるような怪我では、通常、受傷から症状固定までの全期間について請求できます。 |
寝たきりになった事故の示談交渉で注意すべきポイント
寝たきりになった事故で家族の方が示談交渉に臨む際には、以下のポイントに注意しましょう。
適正な後遺障害等級を獲得する
認定される後遺障害等級によって賠償金の額が大きく変わる可能性があるため、適正な後遺障害等級を獲得することは非常に重要です。
寝たきりになった場合は1級または2級(いずれも要介護)に認定される可能性が高いですが、審査資料が不足した場合などでは、不当に軽い等級に認定される可能性もあります。
1級に該当する症状があるのに2級に認定されたり、場合によっては3級(神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの)など、より軽い等級に認定されることも考えられます。
保険会社による事前認定で納得いかない結果が出た場合は、被害者請求による異議申し立てを検討しましょう。
慰謝料を適正に請求する
慰謝料の額は、弁護士基準で請求した場合に最も高くなります。
しかし、保険会社は通常、任意保険基準で慰謝料を計算するため、不当に低額の慰謝料を提示されることがほとんどです。
弁護士基準による慰謝料額を獲得するためには、弁護士に示談交渉を依頼しなければならないのが実情ですが、保険会社の言うことを鵜呑みにして示談すると大きな損をする可能性が高いことは覚えておきましょう。
将来の損害に関する賠償金を適正に請求する
被害者が寝たきりになった場合には、将来の介護費や治療費、器具の買い換え費用などを適正に請求することも重要です。
これらの賠償金が不十分であれば、将来的に介護に要する費用を家族の方が自己負担しなければならないおそれが出てくるからです。
また、逸失利益について、保険会社は「寝たきりになった人の余命は平均より短い」と主張し、労働能力を極めて短く見積もることがあります。
裁判例でも、寝たきりになった人の労働能力喪失期間を平均より短めに見積もることはありますが、保険会社は不当に短く見積もり、極めて低い金額を提示することが多いので注意が必要です。
バイク事故で寝たきりになった場合に弁護士へ依頼するメリット
バイク事故で寝たきりになった場合の損害賠償請求は、弁護士に依頼することを強くおすすめします。
交通事故に詳しい弁護士によるサポートを受けることで、以下のメリットが得られます。
- ・治療の適切な受け方についてアドバイスが受けられる
- ・症状固定の診断を受けるべき時期についてアドバイスが受けられる
- ・後遺障害等級認定の手続きを任せられるので、適正な後遺障害等級の獲得が期待できる
- ・弁護士基準で慰謝料などを請求してもらえるので、高額の賠償金の獲得が期待できる
- ・代理人として示談交渉をしてもらえるので、保険会社などと直接やりとりする必要がなくなる
早い段階から弁護士のサポートを受けた方が、より有利な結果につながりやすいので、早めのご相談がおすすめです。
まとめ
バイク事故で被害者の方が寝たきりになると、ご家族の方も看護・介護のために大変な日々を過ごすことになるでしょう。
将来にわたって介護が続くことを考えると、お金の問題は非常に重要です。交通事故に詳しい弁護士へ早めにご相談の上、適正な賠償金の獲得を目指しましょう。
オールイズワンは重傷事故の専門弁護士です。バイク事故で寝たきりになられた方のサポートなど、数多くの実績があります。
医療に詳しく主治医と連携して適切な診断書の作成をおこない上位の等級取得を目指します。また交渉力にも強く、弁護士基準による賠償金獲得率は98%を誇り、適正な賠償金請求をおこないます。
交通事故でお困りでしたら、当弁護士法人までお気軽にご相談ください。