後遺障害等級取得へのこだわり|医師との連携による精緻な診断書作成
医師との連携による精緻な診断書作成により、多くの事案において正確な後遺障害等級取得が可能になります。また、これにより慰謝料、賠償金の増額を果たすことができます。
オールイズワンが等級取得に強い5つの理由
- 弁護士自らが後遺障害や医療に精通しています
- 入通院中から等級取得の準備をサポートします
- 顧問医との連携により医学的根拠を明らかにします
- 主治医に対して的確な提案をおこない連携を強化します
- 等級取得できる診断書を作成します
第1:頭部
傷病名:頭部外傷、頭蓋骨骨折、脳出血、脳挫傷、高次脳機能障害
症状
意識障害(ア)治療
頭に衝撃を受けて脳に損傷が生じた場合、意識障害が出ることが多いといえます。損傷の状態が重度であれば呼吸や血圧などの生命維持に必要な機能が低下しますので、まずはこれらに対する治療が第一優先になります。
症状が重ければ手術を行うこととなり、それほど重くなければ治療を継続しながら状態を観察することになります(保存療法)。
意識障害の状態が軽い方については、事故後当初から会話は出来るが場所やなぜ入院しているかわからない(見当識障害)、などの症状がでることがあります。
意識障害については、事故後早期に回復する方が多いため、意識状態が安定した状態でどのような障害があるかを診察していくことになります。
意識障害が起こった場合、後に記載している高次脳機能障害が出現することがあります。 (イ)後遺障害
後遺障害は、交通事故においては、「自動車損害賠償保障法施行令」の別表第一と第二で決められているもので、各段階が等級づけられています。最も重度な障害が第1級、最も軽度な障害が第14級になります。
この表に記載されている後遺障害にあてはまるもの(及びこの表に相当する等級であると特別に認められている障害)だけが、交通事故における後遺障害として認められます。
また、これらの表に記載されている意味は、それぞれさらに細かく決められています。
重症な意識障害で問題となる等級は、別表第一となり、
「第1級1号:
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの」
「第1級2号:
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの」
となります。
この2つの等級の違いは、「常に」介護を要するか又は「随時」介護を要するかとなります。
第1級1号として想定されるのは、意思疎通が全くできず、ベッド上に寝たきりとなるような状態です。
中等度から軽度の意識障害が生じた方については、意識状態が回復した後の高次脳機能障害が問題となることが多くあります。
高次脳機能障
(ア)治療
高次脳機能障害とは、脳の生命維持などの原始的機能は問題がないものの、日常生活に必要となる様々な「高次」の脳機能に障害が発生しているものです。
高次脳機能障害の症状は多岐にわたり、
・失語症・・・話そうとしても言葉が出てこない、話をしている相手の言葉が音としては認識出来るが意味が理解できないなど。
・失行・・・・・麻痺はないのに身体がうまく動かせない、道具の使い方がわからない(歯ブラシを使って髪を梳かそうとする)など。
・半側空間無視・・・視力は正常であるのに、障害を受けた脳の反対側の視野にあるものを認識出来ない(食事の際、食器の右側に入っている食べ物だけを食べて全部食べたという)など。
・記憶障害・・・新しいことを覚えられない、事実ではないことを事実として話してしまうなど。
などの様々な障害が生じる可能性があります。これらの症状は、元々怪我をされた方を知らない人が見ても明らかに症状があるとわかる場合と、家族や友人など、元々その人を知らないと症状があるとわからない場合があり、そのことが高次脳機能障害の発見、治療、後遺障害の認定を難しくしています。
また、脳の損傷部位と症状には典型的な関連性が認められるといわれているものもありますが、臨床上は、損傷部位による典型的な症状のみではなく、複数の症状が混合して認められることが多いといえます。
骨折などの整形外科的傷害とは異なり、事故の直後に高次脳機能障害の存在がわからず、職場復帰して初めて事故の前と同じように仕事ができないことに気付き、高次脳機能障害が発見される、というような経過をたどることが多くあり、この特徴が後遺障害の認定を一層難しくしています。
治療としては、まずどのような高次脳機能障害があるかを日常生活の観察、家族からの聞き取り、評価テストによる評価などで診断し、それらに対する治療を行っていきます。
高次脳機能障害に対する治療は主に言語聴覚士の方が担当する場合が多く、日常(入院)生活での注意事項を実践していくことになります。
(イ)後遺障害
高次脳機能障害が発現した場合、その回復の経過は長く、約1年以上の治療期間を経てから後遺障害の診断を行うことになります。回復の過程は、事故後早期の時期に急速な回復があり、その後緩やかな回復となっていくことが通常です。
問題となる等級は、
別表第一
「第1級1号:
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの」
「第1級2号:
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの」
別表第二
「第3級3号:神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの」
「第5級2号:神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの」
「第7級4号:神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの」
「第9級10号:神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」
「第12級13号:局部に頑固な神経症状を残すもの」
です。
これらの等級についての申請は、医師による「後遺障害診断書」に加えて、
・頭部外傷後の意識障害についての所見
・・・頭に衝撃を受けた後に意識障害が一定期間続いた場合、高次脳機能障害が出現する可能性が高いと考えられています。
・神経系統の障害に関する医学的所見
・・・医師からみて被害者の運動機能、日常生活動作及び認知機能等がどの程度障害されているかを示す書面です。高次脳機能を評価する検査の結果を添付する場合もあります。
・日常生活状況報告
・・・基本的に被害者の方のご家族からみた、被害者の方の日常生活の問題点、問題行動及びそれらが社会生活を営む上でどのように影響を及ぼしているかを記載する書面です。
などの多数の書類を提出することで、被害者の多岐にわたる症状をあぶりだす必要があります。
また、これらの日常生活の能力には問題がないものの、仕事において高度の知識及び事務処理能力を要する環境におられた方が、事故後に事故前と同様に仕事を行うことが出来なくなったような場合があります。このような場合には、職場の方にご協力いただき、事故の前後でその方の労働能力がどのように変化したのかをまとめて、証拠として提出する場合もあります。
(ウ)認定までの経過
上記のとおり、高次脳機能障害は非常に認定が難しい等級となっています。そのため、整形外科領域の傷害を負った方よりもより詳細な検討、準備が必要となります。
ⅰ 症状の存在の有無
まず、高次脳機能障害についてはその存在すら医療記録に残っていない(診断がつけられていない)場合があるため、事故直後の様子やその後の症状の有無などを確認して、高次脳機能障害が存在するかどうかを確認します。この際、ご本人にお話を聞くことはもちろんですが、高次脳機能障害の特徴として、病識がない(ご自身に症状が出現していること自体に気付くことができないという症状。これも高次脳機能障害に特徴的な症状です。)方がいらっしゃるので、基本的には同居のご家族にお話を聞くことが必要になります。
また、事案によっては(ご協力いただける場合には)勤務先の同僚の方、上司の方に就労能力の事故前後での変化をお聞きすることもあります。
そして高次脳機能障害の存在が疑われる場合には、障害の有無をどの程度立証できるかを検討していきます。
ⅱ 医療記録の確認
上記のとおり、高次脳機能障害において等級が認められるためには、意識障害の所見と画像所見が重要となります。
まずは、カルテの開示を行い、事故直後の意識状態の記載を確認し、意識障害が認められる場合には、カルテの記載上意識障害がどのくらいの期間継続しているかを確認します。意識障害が重度の場合には、6時間以上の継続が、意識障害が軽度から中等度の場合には1週間以上の継続がひとつの目安とされています。
さらに、脳のMRI画像上、急性期において脳実質に損傷が認められる場合や、急性期のMRI画像と比較して数か月後の脳のMRI画像で脳の萎縮が認められる場合には、高次脳機能障害の存在が認められやすくなります。
そして、このような画像、症状に対してどのような診断がなされているかも重要となります。
高次脳機能障害の診断がつけられていて、受診している病院が脳血管リハビリテーションを行っている場合、高次脳機能障害の存在を発見することまたはその重症度を評価するための検査が行われていることが通常です。この検査結果を確認できれば、被害者の方に検査上どのような高次脳機能に障害が生じているかを検討することができます。
また、脳画像と意識障害の所見が認められることが重要ですが、いずれかの所見が重篤な場合、基準とされている要件を満たしていなくても脳の損傷と後遺障害の関連性が認められることがあります。
ⅲ 症状の確認
高次脳機能障害の存在が立証出来そうであれば、次は被害者の方にどのような障害が出現しているか、それにより日常生活、社会生活においてどのような支障が生じているかをご本人、ご家族に詳細に聞き取らせていただきます。
そして、出現している症状が、医療記録に残されている検査結果によって読み取れるか、関連性があるかを確認します。
ⅳ 等級申請準備
約1年間の治療期間を経ると、後遺障害の等級申請を検討する段階に入ります。この段階で存在する症状と、医療記録の検査結果、症状の記載を確認し、追加で必要な検査があれば病院へ追加の検査を依頼します。
そして、症状を医療記録上確認出来る状態にしてから、等級申請を行います。
ⅴ 審査
後遺障害の等級申請を行う場合、等級の認定が難しい事案ほど被害者請求(相手方保険会社をとおさずに被害者が直接相手方の自賠責保険に対して請求する方式)が推奨されます。これは、等級の認定について必要な書類を被害者が直接準備、提出できるためです。
自賠責保険へ行われた請求は、等級の審査を実際に行う機関である損害保険料率算出機構の調査事務所へ送られます。認定が難しいとされている特定事案(高次脳機能障害、非器質性精神障害及び異議申立事案)はそこからさらに自賠責保険審査会に送られ、当該審査会で審査されることとされています。高次脳機能障害について後遺障害の申請をした場合は、当該審査会で審査されることとなるので、通常の事案よりも認定に時間がかかります。
ⅵ 過去の事例
当事務所で受任した件で、そもそも医療記録に脳の損傷自体の記載が残されておらず、そのため高次脳機能障害の診断もつけられていない方がいらっしゃいました。この方の件では、どのような障害が残られているかを聞き取った上で主治医に訴え、再度弁護士同席の上で脳画像を検討してもらい、脳の損傷が発見され、診断を付けていただきました。
その結果、無事高次脳機能障害として等級が認定され、適正な賠償を得ることができました。
ウ麻痺
(ア)治療
脳に損傷が生じ、運動神経が傷害されると、損傷が起きた脳の反対側の身体に麻痺が起こることがあります。脳は基本的にその場所によって運動を支配している身体部位が決まっているため、損傷を受けた脳の部位が支配する身体部位に麻痺が発生します。一側の脳に広範囲の損傷が生じると、損傷が生じた脳の反対側の身体全体に麻痺が起こります。
損傷を受けた脳は基本的に回復しないとされていますが、麻痺が生じた部位を動かそうとすると、損傷を受けていない神経が新たな経路を作り、ある程度まで麻痺が回復すると考えられています。また、損傷を受けた脳の反対側の脳から新たな神経経路ができる可能性も示唆されています。
麻痺に対する治療は、医師の指示により、主に作業療法士及び理学療法士が行うことが通常です。
(イ)後遺障害
問題となる等級は、
別表第一
「第1級1号:神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの」
「第1級2号:神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの」
別表第二
「第3級3号:神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの」
「第5級2号:神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの」
「第7級4号:神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの」
「第9級10号:神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」
「第12級13号:局部に頑固な神経症状を残すもの」
です。第12級以外は、運動麻痺の程度によって認定され、腕、足をどの程度動かせるか、日常生活動作や社会生活をどの程度行えるかによって認定が行われます。
第2:頚
傷病名:頚椎捻挫(むち打ち症)
症状
首の痛み、肩から手にかけての痛み又はしびれイ治療
消炎鎮痛剤の処方、温熱療法、牽引、運動療法など
ウ後遺障害
頚椎捻挫は、数か月の治療で良くなることが多いと言われているので、半年以上症状が残っている方が後遺障害の対象となります。
問題となる等級は、
「第12級13号:局部に頑固な神経症状を残すもの」
「第14級9号:局部に神経症状を残すもの」
です。この2つの等級の違いは、第12級が症状について医学的所見が明らかであるものであり、第14級はそれ以外のものです。
医学的所見とは、画像において損傷部位の所見が明らかであること、腱反射所見に事故から早期の時期に異常所見があること及び損傷部位と症状が一致していること等であり、頚椎捻挫で第12級が認定されることは極めてまれです。
そのため、頚椎捻挫で問題となるのは、基本的に第14級9号になります。
傷病名:頚椎骨折
症状
骨折部位の痛み、頭を動かせないイ治療
装具による首の固定、重症なものは骨折した骨の周囲にボルトを入れる手術や骨折した骨を補強する手術により、首を固定します。
ウ後遺障害
問題となる等級は、
「第6級5号:脊柱に著しい変形又は運動障害を残すもの」
「第8級2号:脊柱に運動障害を残すもの」
「第8級:脊柱に中等度の変形を残すもの」
「第11級7号:脊柱に変形を残すもの」
です。これらの等級は、骨折した骨のつぶれ方の度合い、どの程度首を動かせるか、どの程度脊柱の配列にゆがみが生じているかにより認定を行います。
また、骨折した骨に対して固定術が行われた場合には、第11級以上の等級が認定されることとなっています。
傷病名:頚髄損傷
症状
背骨(脊柱)は一つ一つの小さな骨(脊椎)の集合体で、その骨の中には太い神経の束(脊髄)が通っています。これは脳から出て身体まで達するすべての神経の通り道で、脊髄が損傷されるとその損傷よりも下の部位を支配する神経に障害が生じます。頚髄の損傷の程度によって、完全麻痺と不全麻痺に分かれます。
イ治療
頚髄損傷の場合、損傷の箇所によっては自力呼吸が不可能となる場合があるため、全身管理(呼吸・循環管理)が必要となります。また、神経保護のため、薬剤の投与が行われることもあります。
頚髄損傷は通常その周りを保護している頚椎の骨折に伴って起こるため、頚椎の整復や固定の手術が行われることもあります。
頚髄が完全に損傷した場合には、損傷した神経よりも下の身体部位が完全麻痺となり、時間の経過によって麻痺が回復することはまれです。そのため、残された機能を活かして日常生活動作を獲得すること、環境整備を行うことが目標となります。
不全麻痺の場合には、時間の経過によって麻痺の回復がみられることがあるため、麻痺の回復を図りながら日常生活動作の獲得を行っていきます。
ウ後遺障害
問題となる等級は、
別表第一
「第1級1号:神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの」
「第1級2号:神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの」
別表第二
「第3級3号:神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの」
「第5級2号:神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの」
「第7級4号:神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの」
「第9級10号:神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」
「第12級13号:局部に頑固な神経症状を残すもの」
です。第12級以外は、運動麻痺の程度によって認定され、腕、足をどの程度動かせるか、日常生活動作をどの程度行えるかによって認定が行われます。
第3:肩
1傷病名:鎖骨骨折、肩甲骨骨折、上腕骨近位端骨折
症状
骨折部の痛み、周囲のしびれ、肩の運動障害イ治療
骨折の程度が重度であれば、ボルトなどを入れて骨折部を固定する手術を行うことがあります。また、上腕骨の骨折の程度が大きい場合には、人工骨頭置換術が行われる場合もあります。
骨折の程度が軽度から中等度であれば、基本的には骨折部を装具で固定して、安静となります。
消炎鎮痛剤の処方、温熱療法、運動療法などが行われます。
ウ後遺障害
問題となる後遺障害は、
<変形>
「第12級5号:鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの」
「第12級8号:長管骨(上腕骨)に変形を残すもの」
変形の程度は目でみてわかる程度の変形であるため、等級の審査時に面接を求められることがあります。
<運動障害>
「第8級6号:1上肢の3大関節中の1関節(ここでは肩関節)の用を廃したもの」
「第10級10号:1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの」
「第12級6号:1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの」
第8級6号は、肩関節を全く動かせなくなった状態です。この動かせないとは、自分で動かせないという意味ではなく、他人が腕を動かそうとしても(他動運動)全く動かせない状態かどうかで判断します。
また、人工骨頭置換術を受けた場合、怪我をしていない側の肩の動きと比較して、半分以下となっている場合にも、第8級6号となります。
第10級10号は、怪我をしていない側の肩の動きと比較して、半分以下の動きとなっている場合が該当します。人工骨頭置換術を受けた場合には、肩関節の動きが健康な側の肩と変わらない場合でも、第10級10号に該当します。
第12級6号は、怪我をしていない側の肩の動きと比較して、4分の3以下の動きとなっている場合が該当します。
肩関節の骨折で腕を全く動かせない状態となることはまれであるため、通常問題となるのは第10級及び第12級です。
<神経症状>
「第12級13号:局部に頑固な神経症状を残すもの」
「第14級9号:局部に神経症状を残すもの」
骨折周囲に痛みが残っている場合、その痛みについて医学的原因が説明できる場合(骨折部にずれがある場合など)は12級に、画像上の説明が難しい場合には14級が該当します。
これらの神経症状については、運動障害が認められない場合に問題となります。また、関節可動域の数値からは運動障害の基準に該当する場合であっても、骨折の部位・程度によっては、当該骨折で運動障害が発生するという関係が認められないとして、神経症状のみが認められることもあります。
傷病名:腱板損傷
症状
肩周囲の痛み、しびれ、運動障害イ治療
腱板とは、肩甲骨から上腕骨をまたぐようにしてついている4つの筋肉(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)の総称です。肩関節は人体の中では動かせる範囲が大きい関節であり、その分固定が必要となる構造をしています。
腱板は、上腕骨を関節にしっかりと収めて安定させるために働く筋肉です。
損傷が重大な場合には断裂し、これに対する縫合手術が行われることがあります。軽度から中等度の場合には、装具等で固定し、経過を観察することになります。
消炎鎮痛剤の処方、運動療法が行われます。
ウ後遺障害
問題となる後遺障害は、
<運動障害>
「第8級6号:1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの」
「第10級10号:1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの」
「第12級6号:1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの」
<神経症状>
「第12級13号:局部に頑固な神経症状を残すもの」
「第14級9号:局部に神経症状を残すもの」
です。これらの等級の判断基準は、上記の骨折の場合と同様ですが、腱板損傷の場合には、事故から早期の段階でのMRI画像が必要となります。
また、骨折の場合と比較して、運動障害が生じた場合でも運動障害に該当する等級が認められる可能性が低くなっています。