主治医の先生から、一番痛い痛みを10とすると、今の痛みはいくつくらいかと聞かれたら、どう答えれば良い?
主治医の先生から、一番痛い痛みを10とすると、今の痛みはいくつくらいかと聞かれたら、どう答えれば良い?
主治医の先生からなされるこのような質問は、ペインスケールと言われるもので、治療の効果を確認し、症状がどれだけよくなっているかを確かめるためになされます。ペインスケールには、NRS、フェイススケール、VAS、VRSなどがあります。
今回、主治医の先生から出た質問は、このうち、NRSに基づくものと思われます。これは、痛みのレベルを10段階に分け、1~4を軽度、5~6を中等度、7~10を高度の痛みと捉える、痛みを図る物差しです。
先生によっては、診療報酬明細書(レセプト)添付の診断書に、このNRSに基づく検査結果を記載されます。
通常、事故に遭ったその時から、全く痛みの強さが変わらないという方は、そう多くありませんので、先生の質問に対し、初めは10と答えていた被害者の方でも、その次の機会には10から8、更にその次は8から6と、少しずつ下がっていくケースも多くあります。それを聞いた医師が、「頚部痛緩解」といった記載を書かれることもあります。このような記載が自賠責保険の目に触れると、立ち所に、後遺障害にはあたらないという判断をされてしまうことがあります。後遺障害というからには、この先、年単位で症状が残るはずであるところ、この被害者は順調に良くなっているから、後遺障害があるとは言えないという判断です。
良くなっているのに、良くなっていないと言えば、嘘になってしまいます。しかし、良くなっていると言えば、それを理由に後遺障害等級を認めてもらえなくなってしまいます。どうすれば良いのか。
まず、被害者の皆様は、事故から継続して治療を受けておられますから、一見、随分良くなっているように感じられるかもしれません。しかし、被害者の方が、突如保険会社から治療費支払を打ち切ると言われ、1週間病院に行かなかったら痛くてたまらなくなったなどという話はよくあることです。
また、主治医の先生から質問されるタイミングが、理学療法士の先生のマッサージを受けたり、電気、温熱治療をしたり、時にはブロック注射を受けたりと、一通りの治療をした後であることも、随分良くなっているという被害者の方の回答に繋がっているケースがあります。
そう考えると、基本的に症状は変わっていないと言うのが正しいことも案外多いかもしれません。症状が良くなっているとお答えになるときには、是非、思い出して下さい。
当弁護士法人では、例えば、主治医の先生の、「頚部痛緩解傾向」といった記載が記録されている場合には、その後の通院治療の状況を踏まえれば、結局において症状は一貫していたといったご意見を医師から頂き、14級の取得に成功するなど、後遺障害等級認定の確率アップに取り組んでいます。また、事前に被害者の方の症状をお聞きして、先生に対する症状の伝え方について、アドバイスをさせていただく場合もあります。