右を向いたときの首の痛みがひどい場合、それを主治医の先生によく伝えておいた方が、等級は認められやすいと思って良いか。

右を向いたときの首の痛みがひどい場合、それを主治医の先生によく伝えておいた方が、等級は認められやすいと思って良いか。

答えはノーだと思って下さい。どういう意味かといいますと、医学的に、頚椎・腰椎の外傷性の神経症状は、「安静臥床時においても消失しない。」と考えられています。じっとしていても、寝ていても、消えることなくずっと痛い。ずっと痺れているものだということです。

 

右を向いたときに痛いという動作時痛や、下を向いたときに痺れるという動作時のしびれは、外傷性の神経症状として典型的ではなく、じっとしていても痛いという安静時痛や、寝ても覚めても痛い、痺れるという常時痛、常時の痺れが、典型的な外傷性の神経症状であるというのです。

 

右を向いたときに首の痛みがひどいというのは、言い換えれば、動作時に首の痛みが増悪するということで、じっとしているときに痛くないと言っているわけではありません。したがって、医療記録上も、「常時痛あり。動作時に疼痛増悪あり。」と記録されれば問題はないということになります。

 

しかし、右を向いたときに痛みがひどいと聞いた主治医の先生が、「動作痛あり」とか、「右を向くと疼痛誘発」といった記載をされてしまうと、後遺障害診断の時にも、そのようにしか書いてもらえません。そうすると、動作時痛しかなく、常時痛はないということになって、後遺障害等級の認定は受けられないということになる危険があります。

 

出ている痛みその他の症状を漏らさず正確に伝えたいというのが被害者の気持ちです。しかし、等級認定との関係では、シンプルに痛い、痺れると伝えるのが一番ということになります。それ以上に、右を向いた時に痛みが強くなることを伝えたいときは、「常に痛いけれども、特に、右を向いたときに痛みが強くなる」とハッキリお伝えいただくべきということになります。

 

他に、寒くなると痛みが増すとか、気圧の変化で痛みが強くなるといったことを伝えるときにも同様の注意が必要です。気候条件の変化により痛みが増悪することが、後遺障害等級認定にプラスに評価されることはありませんので、誤解を避けるため、思い切ってその点は伝えないという方法も、選択肢の一つです。

 

当弁護士法人でご依頼を受けた案件の中に、被害者の方が、「右を向くと痛みが強くなる」と繰り返し訴えておられたケースがありました。後遺障害診断書上、右を向いたときの頚部動作痛ありという症状の記載しかもらえず、主治医の先生に相談しましたが、「カルテに右を向いたときの動作痛」という記載しかないから嘘は書けないと言われてしまいました。そこで、この経緯を報告書にまとめて後遺障害等級申請をしたところ、頚部痛について14級の認定を受けました。

 

当弁護士法人では、状況に応じ、様々な対応をして、後遺障害等級認定の可能性を引き上げる取組みをしています。

 

しかし、主治医の先生に症状を正しくご理解いただくのが一番です。ご依頼の場合、そのためのアドバイスも随時お受けになることができます。