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交通事故による手首骨折の後遺障害等級と慰謝料について

交通事故による手首の骨折は、日常や仕事での手先の動作に直結することもあり、治療終了後も痛みやしびれ、可動域制限をはじめとする後遺症に悩まされることが少なくありません。

まずは十分な治療とリハビリを受けることが大切ですが、完治しなかった場合には後遺障害の認定を受け、損害の程度に見合った賠償金を請求すべきです。

この記事では、手首骨折の基礎知識から、適正な後遺障害等級の認定を受けるためのポイント、慰謝料の相場などについてわかりやすく解説します。

手首骨折とは

まずは、手首骨折に関する基本的な知識を押さえておきましょう。

手首とは

手首とは、手のひらと腕をつなぐ関節のことであり、医学上は「手関節」と呼ばれます。

前腕(肘から先)にある橈骨と尺骨という2本の太い骨と、手のひらの根本にある8個の小さな手根骨で構成されています。

これらの骨が靱帯で結ばれて複雑に連動することにより、手首を上下左右に曲げたり、内外にひねったりする滑らかな動作が可能となっています。

手首骨折の症状

手首を骨折すると、直後から強烈な痛みと激しい腫れが生じ、発赤(内出血)を伴うことも少なくありません。骨がズレたり変形したりした場合には、手首がフォークのように曲がって見えたり、左右で形が異なったりすることもあります。

また、手首を走る神経が損傷したり圧迫されたりして、手首を動かせなくなったり、手のひらや指にしびれ、麻痺が生じることもあります。

手首骨折の治療方法

治療方法としては、大きく分けて保存療法と手術療法の2つがあります。

骨のズレが軽微な場合には、保存療法が選択されます。徒手整復で骨を元の位置に戻し、ギプスや副え木などの補強材で固定します。

骨のズレが大きい場合や、折れた骨によって神経が圧迫されている場合などには、手術療法が選択されます。観血的整復固定術により、金属製プレートやボルト、ワイヤーなどを用いて、体内で骨をつないで固定します。

いずれの場合も、骨折後当面の間は安静を保って経過を観察し、骨が融合したらリハビリを開始して手首の可動域や筋力の回復を図ります。

手首骨折の種類

交通事故の衝撃で生じる手首の骨折には、部位や状態によっていくつかの種類があります。代表的な3つの骨折を解説します。

橈骨骨折

前腕にある2本の太い骨のうち、親指側にある骨(橈骨)の骨折です。橈骨の手首に近い部分の骨折のことを特に「橈骨遠位端骨折」と呼びます。

さらに、手のつき方によって「コーレス骨折」(手のひらを打ったときに発生しやすい骨折)、「スミス骨折」(手の甲を打ったときに発生しやすい骨折)などに分類されます。

橈骨骨折は、交通事故による手首骨折の中で最も頻繁に発生しやすいものです。手首が動かしにくくなる、痛みやしびれが残る、などの後遺症が残るケースも少なくありません。

尺骨骨折

前腕の小指側にある骨(尺骨)の骨折です。尺骨の手首に近い側の先端にある突起した部分の骨折のことを特に「尺骨茎状突起骨折」と呼びます。

尺骨骨折は橈骨骨折と同時に発生することも多く、橈骨骨折と同様に、手首が動かしにくくなる、痛みやしびれが残る、などの後遺症が残るケースが少なくありません。

舟状骨骨折

舟状骨とは、手根骨のうち親指の付け根付近にある骨のことです。

舟状骨は血流が乏しい特殊な構造をしているため、骨がくっつきにくく、偽関節(骨が完全にくっつかず、折れた部分が関節のように動いてしまう状態)を形成してしまうケースが少なくありません。

また、レントゲン撮影では判明しにくく、発見が遅れると重度の可動域制限や神経障害などの後遺症が残りやすくなります。

交通事故による手首骨折で認定される可能性がある後遺障害等級

治療を続けても完治せず何らかの症状が残った場合には、損害に見合った賠償金を請求するために、後遺障害の認定を受けることが重要です。

ここでは、交通事故による手首骨折で認定される可能性がある後遺障害等級をご紹介します。

神経障害

神経障害とは、患部やその周辺に痛みやしびれなどの神経症状が残る後遺障害です。神経障害で認定される可能性がある後遺障害等級は、以下のとおりです。

等級 症状
12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの
14級9号 局部に神経症状を残すもの

手首骨折による神経障害は、骨折に伴い神経が損傷したり、圧迫されたりすることで生じます。

レントゲンやCT、MRIなどの検査で神経の損傷や圧迫が他覚的に確認できた場合は、12級13号に認定されます。他覚的所見がない場合でも、治療経過や症状の推移などから、神経の異常を医学的に説明できる場合は、14級9号に認定されます。

機能障害

骨がつながった後も手首を動かしにくくなった場合は、機能障害として後遺障害に認定される可能性があります。

具体的な等級は、以下のように、手首の可動域制限の程度(どれくらい動かしにくくなったか)によって異なります。

もっとも、以下の数値のみではなく、骨折の程度や治療経過、骨のつながり具合などから総合的に判断されることに注意が必要です。

等級 症状
8級6号 1上肢の3大関節の1関節の用を廃したもの
(可動域が健側の10分の1以下に制限、または完全強直)
10級10号 1上肢の3大関節の1関節の機能に著しい障害を残すもの
(可動域が健側の2分の1以下に制限)
12級6号 1上肢の3大関節の1関節の機能に障害を残すもの
(可動域が健側の4分の3以下に制限)

変形障害

折れた骨が正常にくっつかず、変形して固まった場合には、変形障害として後遺障害に認定される可能性があります。偽関節が生じた状態も、変形障害に分類されます。

変形障害で認定される可能性がある後遺障害等級は、以下のとおりです。

等級 症状
7級9号 1上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
8級8号 1上肢に偽関節を残すもの
12級8号 長管骨に変形を残すもの

長管骨とは、四肢を構成する細長い管状の骨のことであり、前腕では橈骨と尺骨がこれに該当します。

欠損障害

欠損障害とは、身体の部位(手足、手指、足指など)の全部または一部を失う後遺障害です。手首骨折に伴う欠損障害で認定される可能性がある後遺障害等級は、以下のとおりです。

等級 症状
2級3号 両上肢を手関節以上で切断したもの
5級4号 1上肢を手関節以上で切断したもの

手首骨折で後遺障害に認定された場合に請求できる慰謝料の相場

後遺障害に認定されると、怪我をしたことに対する入通院慰謝料とは別に、後遺障害が残ってしまったことに対する後遺障害慰謝料を請求できるようになります。

なお、慰謝料の算定基準には自賠責保険基準、任意保険基準、弁護士基準の3種類があります。自賠責保険基準による慰謝料が最も低額であり、任意保険基準では自賠責保険基準と同等か少し高い程度の金額となることが多いです。

弁護士基準では、他の2つの基準よりも大幅に高額となります。したがって、慰謝料を請求する際には、弁護士基準を用いることが重要です。

以下では、手首骨折による後遺障害で請求できる後遺障害慰謝料について、自賠責保険基準と弁護士基準による目安をご紹介します。

任意保険基準による金額は非公開ですが、自賠責保険基準とほぼ同額となるケースが一般的です。

等級 自賠責保険基準 弁護士基準
2級(介護不要) 998万円 2370万円
5級 618万円 1400万円
7級 419万円 1000万円
8級 331万円 830万円
10級 190万円 550万円
12級 94万円 290万円
14級 32万円 110万円

手首骨折で適正な後遺障害等級を獲得するためのポイント

手首骨折で後遺障害が残った場合、後遺障害に認定されるか否か、何級の後遺障害に認定されるかによって、受け取れる賠償金の総額が大きく左右されます。

そのため、適正な後遺障害等級を獲得することは非常に重要です。賠償金で損をしないために、以下のポイントに注意しましょう。

十分な治療と検査を受ける

まずは、医師の指示に従い十分な治療を受けましょう。途中で自己判断により通院をやめたり、通院頻度が極端に少なかったりすると、実際よりも軽傷とみなされてしまい、後遺障害認定の審査で不利になるおそれがあるため、注意が必要です。

後遺障害認定の申請をする前に、必要な検査を漏れなく受けておくことも欠かせません。

骨のつながり具合や変形の有無を確認するには基本的にレントゲン撮影をしますが、神経の損傷・圧迫や靱帯の損傷、TFCC損傷(手首の小指側にある三角線維軟骨複合体という組織の損傷)などを確認するためにMRI検査を要するケースもあります。

神経障害については、画像検査だけでなく各種の神経学的検査も重要です。機能障害では、日本整形外科学会と日本リハビリテーション医学会の基準(ニュートラル・ゼロ法)に従い、可動域を正確に測定しなければなりません。

後遺障害診断書の記載内容を確認する

十分な治療を受けても完治せず、「これ以上は治らない」状態になれば、症状固定の診断を受けます。その際、医師が後遺障害診断書を発行しますが、この診断書には後遺障害認定の対象となる症状や、それを裏づける検査結果などが記載されていることから、審査で最も重要視されます。

そのため、後遺障害認定の申請をする前に、後遺障害診断書の記載内容を確認することが非常に重要です。不足や不備がある場合には、修正や再発行を医師に依頼すべきです。

検査が不足している場合には、追加の検査を申し出る必要があります。

被害者請求で申請する

後遺障害の申請方法には、加害者側の保険会社に手続きを任せる事前認定と、被害者自身が書類を揃えて申請する被害者請求とがあります。

通常、事前認定では保険会社が必要最低限の書類しか収集・提出しないため、資料不足により、後遺障害認定の審査で不利になるおそれがあります。

それに対して、被害者請求では有効な資料を自由に収集して提出できるため、適正な後遺障害等級を獲得しやすいというメリットがあります。

変形障害や欠損障害では事前認定で適正な後遺障害等級を獲得できるケースも多いですが、神経障害や機能障害で他覚的所見が乏しい場合などは、被害者請求を検討することで、適正な後遺障害等級に認定される可能性を高めることができます。

異議申立てをする

申請した結果、後遺障害に非該当と判断されたり、思ったより低い等級に認定されたりして納得できない場合は、異議申立てをすることで再審査を求めることが可能です。

ただし、認定結果を覆すためには通常、新たな医学的証拠を収集する必要があります。追加の検査を受けたり、医師の意見書や被害者自身の陳述書などを補充することが多いです。

交通事故による手首骨折の損害賠償請求で損しないための注意点

その他にも、損害賠償請求で損をしないためには、以下のポイントに注意する必要があります。

治療終了の打診に安易に応じない

治療を続けていると、まだ治っていないにもかかわらず、保険会社から「そろそろ治療を終了してはどうでしょうか」との打診を受けることがよくあります。

この打診に応じると、以後の治療費は保険会社から支払われなくなる上に、入通院慰謝料が適正額より低くなってしまうおそれがあります。

また、医学的に見てまだ症状が固定していないと判断される場合には、後遺障害認定の申請をしても非該当と判断されるおそれがあることにも注意が必要です。

保険会社から治療終了の打診を受けた場合には、まず医師に相談しましょう。まだ治療継続の必要性があると医師が判断した場合には、その旨を保険会社へ伝えて、治療費支払いの継続について交渉すべきです。

慰謝料を弁護士基準で算定する

適正な後遺障害等級に認定されたら保険会社と示談交渉をすることになりますが、その際には、慰謝料を弁護士基準で算定することが重要です。

通常、加害者側の保険会社は任意保険基準で慰謝料を算定しますが、弁護士基準より大幅に低い金額を提示してくるケースがほとんどです。

認定された等級などにもよりますが、賠償金総額では数百万円~数千万円の開きが出るケースも珍しくありません。

保険会社の言うことを鵜呑みにして示談書にサインせず、弁護士にご相談の上、適正な賠償額を確認した方がよいでしょう。

逸失利益を的確に請求する

後遺障害に認定された場合、後遺障害慰謝料の他に逸失利益も請求できます。

逸失利益とは、後遺障害によって労働の能力が低下し、将来得られるはずの利益(収入)が減少する分に対する補償です。

具体的な金額は、事故前の収入や症状固定時の年齢、認定された後遺障害等級などに応じて変わるため、正確に計算して請求する必要があります。

保険会社は、労働能力喪失期間を短期に制限するなどして減額を主張してくることが多いため、的確に反論して交渉することが重要です。

示談交渉を弁護士に任せる

示談交渉では、被害者自身が保険会社と対峙するよりも、弁護士に依頼することで賠償金の増額が期待できます。

その理由は、主に、慰謝料を弁護士基準で算出して請求してもらえること、法的観点から的確な主張をして交渉してもらえること、後遺障害認定申請をサポートしてもらうことで適正な後遺障害等級に認定されやすくなること、などが挙げられます。

症状固定の診断を受けた段階で一度、弁護士に相談してみるとよいでしょう。

手首骨折の損害賠償請求を弁護士に依頼するメリット

弁護士に依頼するメリットをひと言で言えば、損害賠償請求の手続きを全面的にサポートしてもらえることです。それも、早期に依頼するほど大きなメリットが得られやすくなります。

治療段階で依頼すれば、必要な治療や検査の受け方からアドバイスが受けられます。

保険会社からの治療終了の打診にも対応してもらえますし、後遺障害診断書が発行されたら記載内容の確認や、必要に応じて修正や再発行を医師にかけ合ってもらうことも可能です。

後遺障害認定申請の段階では、被害者請求や異議申立ての複雑な手続きを一任できます。

示談交渉も弁護士が代理人として全面的にサポートしてくれるため、被害者が自分で保険会社と直接やりとりする必要はありません。

保険会社との示談交渉が決裂した場合には、裁判を弁護士に依頼して全面的にサポートしてもらうことも可能です。

その結果、被害者が1人で対応するよりも、賠償金の大幅な増額が期待できるのです。

まとめ

交通事故で手首を骨折したら、まず画像検査で正確な診断を受けて、十分に治療することが大切です。

治療を続けても完治しない場合には、後遺障害認定の申請を適切に行う必要があります。その際には専門的な知識を要するケースも少なくないので、不安を感じたらすぐ弁護士に相談しましょう。

オールイズワンでは交通事故による後遺症を専門的に取り扱っており、手首骨折で後遺障害が残ったケースについても、適正な賠償金の獲得をサポートしてきた実績が豊富にございます。

交通事故で手首を骨折し、賠償問題でお困りの方は、お気軽に当事務所へご相談ください。

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