骨折による足関節機能障害と傷跡について提示額495万円から2,700万円に増額した事例
骨折による足関節機能障害と傷跡について提示額495万円から2,700万円に増額した事例
後遺障害内容・部位 | 左足関節機能障害・左下肢瘢痕 |
診断名・症状名 | 左脛・腓骨骨幹部開放骨折、左下肢熱傷及び皮膚壊死 |
後遺障害等級 | 左脛・腓骨骨幹部開放骨折に伴う左足関節機能障害で12級7号 と左下肢熱傷及び皮膚壊死による左下肢瘢痕で12級14号を獲得し、併合11級 |
主な自覚症状 | 左下腿の鈍痛、植皮部全体のつっぱり感があり、左足関節に可動域制限がある |
495万円
2,700万円
495万円
2,700万円
オールイズワンに後遺障害等級認定・示談交渉サポートを受ける前と
受けた後の違い
賠償項目 | 示談交渉前 | 示談交渉後 | 増額分 |
後遺障害慰謝料 | 220万円 | 420万円 | 200万円 |
傷害慰謝料 | 196万円 | 304万円 | 108万円 |
増額慰謝料 | 0円 | 231万円(裁判基準超)※1 | 231万円 |
後遺障害逸失利益 | 191万円 | 771万円(裁判基準超)※2 | 580万円 |
休業損害 | 128万円 | 1,442万円(裁判基準大幅超) | 1,314万円 |
合計額 | 735万円 | 3,168万円 | |
取得額(過失10%) | 495万円 | 2,700万円 | 2,205万円 |
※2 示談交渉により、逸失利益が以下のとおり裁判基準超までアップしました。
労働能力喪失率 14%(裁判基準:540万円)
⇒ 20%(裁判基準超:771万円)
ご依頼の経緯
交通事故により、左足骨折と、左下肢皮膚損傷の傷害を負い、通院終了後、保険会社の話が信用できず、後遺障害等級認定の受け方もわからなかったため、相談、依頼されました。
結果(後遺障害部分)
1.本件で、被害者の方は、左脛骨・腓骨の骨幹部について、開放骨折という大怪我をしていました。開放骨折というのは、骨が皮膚を突き破って飛び出してしまう骨折であり、拘縮因子と言って関節を動きにくくする物質が、骨折患部で大量に発生すると考えられています。リハビリというのは、このような拘縮因子を骨折患部から排出する営みなわけですが、リハビリをやっても出し切れないほどの拘縮因子が生じ、骨折患部が動かなくなることはよくあります。
私は、自賠責保険の等級認定において、この点が非常に重視されていると考えています。そこで、本件では、X線等医療画像もまじえ、この点を十分確認した上、さらに、左の足首が動かなくなったことの医学的証明をより確実にするため、上記の開放骨折を補う拘縮因子として、筋萎縮(筋肉の体積が減少することです)があることを、主治医の先生に、後遺障害診断書の他覚所見の欄に記載していただきました。
2.また、形成外科の後遺障害診断書に「広範囲に醜形伴う瘢痕」の具体的内容に関し追記していただくなどしました(何か所にも及ぶ傷の形や大きさを全て記載してもらいました)。これは、12級の等級を獲得するために必要なことですが、12級をとるには、合計面積が手のひら(指は含みません)3個分の大きさに達していればよく、本件では十分にそれを充たしていました。しかし、被害者の方の足には、手のひら15個分以上の面積の瘢痕があり、私は、それらを一つも漏らすことなく主治医に記載していただきました。それは、後に、示談交渉の中で、12級の認定は受けたけれども、12級では被害者の方の精神的苦痛が正しく評価されたことにならないのだと主張して、慰謝料の増額を主張するためでした。
3.その結果、足首の動きが制限されたことについて12級、足に瘢痕が残ったことについても12級を取得し、併せて11級という評価を獲得しました。
示談交渉の経緯
1.本件では、示談交渉において、かなりの工夫をし、大成功をおさめました。その点について少しお話しします。
まず、被害者の方は、足関節(足首)の可動域制限について、12級の認定を受けていました。足首の動きに制限があるときの12級は、患側(怪我をした側)の足首の動きが、健側(怪我をしていない側)の動きと比べて4分の3以下であるときに認められます。これが2分の1以下になると10級が認められ、賠償金額は大きく変わってきます。
本件の被害者の方の場合、2分の1まではいきませんでしたが、それでも4分の3を超え、左の足首は右の3分の2程度しか動きませんでした。
そこで、後遺障害10級の評価までは受けられないとしても、12級で評価し尽くされたとは言えない点を、増額慰謝料として評価する必要があり、裁判となれば立ち所にそういう認定がなされると主張しました。
また、本件の事故状況は、バイクで走行中の被害者がベンツに衝突されて転倒し、被害者のバイクは燃え上がり、被害者自身、火に巻かれ下肢に大やけどを負ったという、極めて激しく残酷なものでした。
やけどの治療は極めて辛いもので、何度にも渡って皮膚移植を繰り返しました。傷は左足のあちこちにあり、12級の評価を受けてはいましたが、12級というのは手のひら3個分の大きさで認められるものであるところ、被害者の傷は、手のひら15個分以上にも及ぶ面積でした。
したがって、裁判所に持ち込んだ場合、いわゆる増額慰謝料が認定されることが確実な事案であると強く主張しました。
2.もっとも、実際に裁判をする場合にはリスクがありました。それは、本件ではやけどにより残った瘢痕についても12級の認定がなされていましたが、この点については、後遺障害逸失利益が認められない危険があったのです。裁判所は、基本的に、瘢痕が残っても、それによって仕事ができなくなるわけではないと考えているためです。
しかし、そのような理由で逸失利益を減らされてしまっては、1で述べた被害の実態を反映した損害賠償を受けることはできなくなってしまいます。そこで、本件の瘢痕は、ただの瘢痕ではなく、皮膚性の拘縮(皮膚の損傷が原因で、身体の組織が固くなり、動きにくくなること)により身体の動きの制限を生じさせるもので、一般的な瘢痕と同じに考えることはできないと主張しました。これにより、後遺障害逸失利益について、裁判所であれば、540万円程度の認定となることが予測される中、770万円の認定を受けることに成功しました。
3.本件を示談で解決するには、大きな問題がありました。本件は、いわゆる裁判基準を上回る解決がどうしても必要な事案でした。しかし、保険会社が、示談交渉の中で、各損害項目について裁判基準を超える解決に応じることはなかなかないのです。
私は、上記のような事実の主張を、証拠と共に次々と繰り出し、慰謝料について、裁判基準を約230万円超える金額を確保しましたが、それでも十分ではないと考えていました。
他方で、保険会社も、増額慰謝料の認定としては、これ以上応じることはどうやら難しそうでした。
そこで、被害者の方が、美容師のお仕事と共に、息子さんと同居され、家事労働を一手に担われていたことから、兼業主婦の家事労働制限を根拠として、いわゆる兼業主婦の休業損害を、事故から3年8か月分(そのうち、丸3年分について100%家事と仕事ができなかったという前提)認めるよう主張し、見事成功しました。その認定額は1,440万円にも及びました。通常、主婦の休業損害については、本件のような事案であったとしても、事故から数か月分の認定というのが相場ですので、本件でこれだけの高額の認定を受けた理由は、被害者がこの事故で受けた様々な苦痛が、ここに凝縮して評価されたということにあります。
結局、保険会社の当初提示額であった495万円の5.5倍にあたる2,700万円で示談が成立し、被害者の方には大変喜んでいただくことができました。
4.このように、当事務所では、裁判基準(場合によってはそれ以上)の金額の確保のために全力を尽くし、種々の工夫を凝らします。
後遺障害診断前からの検査アドバイスや医療記録の分析、後遺障害診断自体への弁護士の立会が、最後の交渉に生きることも多くあり、ご覧いただいたとおり、本件もそういう事案の一つでした。
裁判基準で示談解決するには、どうしても、医学的問題を真正面から取り扱うことができ、しかも、交渉力のある弁護士の力が必要です。
所感、争点
本件では、後遺障害診断への弁護士の関与が、等級の取得は勿論のこと、示談交渉にも大いに役立ちました。
よく、弁護士がつくと、保険会社の支払が多くなるとか、弁護士基準、裁判基準になるとかと言われますが、結局、裁判基準によって金額を決めてはいるが、その100%ではなくて、70%とか80%ということもよくあることです。
また、裁判基準の80%獲得しているのはいわゆる慰謝料だけのことで、休業損害や逸失利益も含めて考えると、裁判基準の60%、70%になっているということも少なくありません。
どの弁護士に頼むかによって、解決基準はハッキリと違います。
医学的問題を扱えて、かつ、裁判基準に徹底的にこだわって交渉する弁護士に、是非とも相談して下さい。
見極めるポイントは、まず、身体や治療のことをよく聞いてくれるかどうかです。医学的問題を扱えない弁護士は、身体に関する質問はなかなかできません。
次に、裁判基準やその他の基準の話をまじえながら、あなたのケースでは、どのくらいの解決金額になるかについて、きちんと話してくれる弁護士が良いでしょう。
そこまで充たせばあとは相性です。交通事故から賠償金の獲得まで、結構長いお付き合いになりますので、相性の合う方に依頼されるのがお勧めです。
この忌まわしい事故の体験、お怪我の体験が、最高の弁護士との出会いに繋がりますことを、心よりお祈り申し上げます。
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