

自転車で横断していた70代女性がバイクと接触転倒、脳挫傷後の高次脳機能障害につき2級を取得し、合計1億円で解決した事案
後遺障害内容・部位 | 高次脳機能障害 |
診断名・症状名 | 高次脳機能障害 |
後遺障害等級 | 2級1号 |
主な自覚症状 | 失語、遂行機能障害、記憶障害、情動障害(感情失禁)等 |
当弁護士法人後遺障害等級認定・示談交渉サポートを受ける前と
受けた後の違い
賠償項目 | 獲得金額 |
後遺障害慰謝料 | 2,607万円(裁判基準超)※1 |
後遺障害逸失利益 | 2,429万円(裁判基準超)※2 |
傷害慰謝料 | 338万円(裁判基準) |
休業損害(本人分) | 213万円(裁判基準) |
休業損害(近親者分) | 52万円(裁判基準) |
将来自宅療養雑費 | 397万円(裁判基準超) |
将来介護費用 | 4,411万円(裁判基準超)※3 |
入院付添看護費等その他費用 | 107万円 |
合計 | 1億0,554円(裁判基準超) |
成年後見人の費用 | 290万円(裁判基準超)※4 |
相手保険会社からの獲得金額 | 8,628万円(20%過失相殺) |
人身傷害保険給付金額 | 1,327万円 |
獲得金総額 | 1億円 |
※2後遺障害逸失利益・・・被害者の年齢からすると減額もあり得るところですが、減額なしの認定を受けました。
※3将来介護費用・・・・日額10,000円の認定を受けており、後遺障害2級で、しかも施設介護の被害者としては高額です。
※4成年後見人の費用・・・これについては過失相殺の対象外として認定することを示談の条件としました。
ご依頼の経緯
〈どのような事故だったか〉
被害者は70歳代の女性で、自転車で買い物に出かけ、買い物を済ませて自宅に帰る途中でした。信号のないT字路の付近で道路左側から右側に斜め横断をしたところ、対向車線から時速約40kmで接近してきたバイクと衝突し転倒した事故でした。
〈どうして重症を負ったのか〉
被害者は転倒時、頭を強く打ちました。これにより頭蓋骨骨折や脳挫傷等の傷害を負ったため、重度の高次脳機能障害を残すことになりました。
〈この事案の特徴〉
被害者の方は、ご自分のことも家族のことも、もはや分からなくなっていました。寝たきりは免れ、お身体は元気だったものの、普通の生活をすることはとても難しく、被害者とご家族の将来のために、十分な賠償金を確保することが何より重要なケースでした。
〈ご依頼の経緯〉
お母様が自転車走行中、自動車と正面衝突され、脳に深刻な外傷を負われました。
今後、治療や介護に沢山のお金が必要となるため、正しい賠償金を受け取りたいとお感じになり、ご相談においでになりました。
緊張されているようでしたが、話し始めると半ば意気投合し、即ご依頼をお決めになって2年間以上に渡るお付き合いが始まりました。
結果(後遺障害部分)
被害者は転倒時、頭を強く打ちました。これにより頭蓋骨骨折や脳挫傷等の傷害を負ったため、重度の高次脳機能障害を残すことになりました。
(1)お母様のご入院先病院訪問
まずはお母様のご入院先病院に赴き、主治医の先生と話しました。脳の損傷部位と被害者の症状について、様々な角度から相談に乗っていただき、後日、カルテを見ながら後遺障害診断書類の下書きを作成するのに役立ちました。
(2)転院
お母様の転院に際しては、将来の後遺障害診断に備えた段取りが必要でした。転院先病院の主治医の先生が、脳画像の読み取りをして下さる方でないと、後遺障害診断書を完成することができなくなってしまいますので、転院先となる病院に、主治医の先生がどなたになりそうか、先生のご専門は何かなどを調査しました。
また、検査そのものができなければ後遺障害診断ができませんので、その病院に必要な検査機器はあるか、検査機器がないものについては他の病院での検査を許可するか、他の病院での検査結果に基づき後遺障害診断していただけるかなどを確認しました。
これにより、お母様のリハビリにとって良い病院で、しかも、後遺障害診断にも支障がない病院に転院していただくことができました。
(3)後遺障害診断日の同行
カルテの分析やご家族の話に基づいて準備した後遺障害診断書類の下書きを持って、後遺障害診断に立ち会うためお母様のご入院先病院に向かいました。
ご家族にご協力頂いた甲斐あって、医学的意見書の下書きや日常生活状況報告書は全く矛盾なく極めて整合的な内容に仕上がっていました。それに基づき主治医の先生に一通りの説明をさせていただくと、よくご理解下さり、大いに参考にして書類を作成すると仰って下さいました。
また、本件の損害賠償では、将来の介護費用が焦点となることは分かっていましたので、お母様には随時介助が必要であることについても、主治医の先生からご意見をいただくことができました。さらに後日、この介護の絡みで後遺障害診断書の修正を打診したところ、快く応じていただけました。
当法人の経験を活かし、充実した後遺障害等級申請サポートをすることができました。
(4)後遺障害等級の取得
後遺障害診断書の修正が完了すると、早速、後遺障害等級申請に入りました。2級取得を目標としており、被害者のご家族も2級でないとおかしいとおっしゃっている事案でした。
審査には時間がかかりましたが、2級の認定通知が来た時には、これまでの業務遂行方針の正しさを再確認することができました。ホッとしたのも束の間、次なる関門である示談交渉の準備に入りました。
示談交渉の経緯
後遺障害2級の認定を受け、交渉を開始しました。本件では、お元気でご家族の心のよりどころであったお母様が事故に遭い変わり果ててしまった悲しみをしっかり評価してもらう必要がありました。したがって、慰謝料の評価には妥協を許しませんでした。
また、家事のすべてを賄っていたお母様が全く家事をできなくなったことは、ご家族にとっても大きな損失でしたので、逸失利益の交渉も重要でした。
さらには、今後の介護に大きな不安を持つご家族の気持ちに応えるためにも、十分な介護費用を取得する必要がありました。
全体的な賠償金を目減りさせないためには相手が当初、過失割合は5分5分であると言ってきている本件において、過失割合の交渉には細心の注意を払う必要がありました。
交渉にも時間がかかりましたが、これら全てについて、裁判基準に照らしても納得の標準に到達することができ、特に重要だった慰謝料、逸失利益、介護費用については裁判でもなかなか認められない金額を確保することに成功しました。また、今後かかる予定の成年後見人の費用については過失割合を掛けずに満額受け取る約束で示談することにも成功しました。裁判所では、過失があるのに過失がないことにするというのは通るものではありませんので、示談交渉の利点を生かした交渉となりました。
所感、争点
この件は、後遺障害等級申請についても、示談交渉についても、当法人の経験とノウハウが遺憾なく発揮された事案でした。事故に遭われて間もない頃にご相談を受けていたこともあり、最初のご入院先病院の先生ともお話しさせていただくことができ、ご家族にも多少なりともご安心頂けたようでした。
今後も、被害者やご家族のお気持ちを受け止めるとともに、弁護士はご依頼者にとって、ほんのひと時現れていなくなる存在ではあるけれども、だからこそ、ご依頼者が将来、ふとした時に思い出され、「良かった。」と思っていただけるような業務遂行を成し遂げる目標に、日々、励んで参りたいと考えています。
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