自転車で走行中に後方から追突された49歳男性が高次脳機能障害7級を取得して5,716万円を獲得した事例

60歳以後の後遺障害逸失利益減額の主張を退け、49歳時点の収入ベースで67歳までの後遺障害逸失利益を獲得!

自転車で走行中に後方から追突された49歳男性が高次脳機能障害7級を取得して5,716万円を獲得した事例

60歳以後の後遺障害逸失利益減額の主張を退け、49歳時点の収入ベースで67歳までの後遺障害逸失利益を獲得!
後遺障害内容・部位 高次脳機能障害
診断名・症状名 外傷性くも膜下出血、脳挫傷、右第5~11肋骨骨折、右橈骨遠位端骨折、左寛骨臼後壁骨折、右膝蓋骨骨折
後遺障害等級 7級4号
主な自覚症状

オールイズワンに後遺障害等級認定・示談交渉サポートを受ける前と
受けた後の違い

賠償項目 獲得金額
治療関係費(耳鼻科治療費込み) 11,562,000円(裁判所基準超)
入院雑費 220,000円(裁判所基準)
付添看護費 950,000円(裁判所基準)
休業損害 6,950,000円(裁判所基準超)
後遺障害逸失利益 43,500,000円(裁判所基準超)
傷害慰謝料 2,900,000円(裁判所基準)
後遺傷害慰謝料 10,000,000円(裁判所基準)
その他(交通費・装具代・文書代等) 100,000円
合計額 76,182,000円(裁判所基準超)
※上記76,182,000円から既払い治療費、休業損害等を差し引き、合計57,160,000円

ご依頼の経緯

1.ご依頼の経緯と事故態様について

 本件は、被害者が自転車で車道の左路側帯上を進行していたところ、後方から同方向に向かい進行してきた大型トラックに追突されたというものです。この衝撃で被害者は自転車もろとも左前方に大きく跳ね飛ばされました。被害者は、身体のあらゆる部位に受傷を負い、病院のベッドの上で途方に暮れていたときに、当法人のホームページを見られてお問い合わせをいただき、お受けする形になりました。

 本件のような事故態様は、動いている者同士の事故ではありますが、被害者には全く非のない追突事故であったため、過失割合は加害者100%を貫き示談を進めました。

結果(後遺障害部分)

 

2.後遺障害について

 被害者は、大の大人が宙に浮いてしまうほどの衝撃を受けたため、外傷性くも膜下出血や脳挫傷、更には膝蓋骨骨折や鼻中隔骨折等の重傷を負いました。

 脳のダメージは高次脳機能障害という形で症状を残存させたため、この障害を中心に後遺障害等級の認定を求めていきました。被害者は、神経心理学的検査(知能や記憶等の高次脳機能を数値化する検査です。)において特に動作性IQが低いという結果が確認されました。動作性IQは「目で見たことを理解すること」や「物事をスピーディに処理すること」に関する能力値です。この結果が示すとおり、被害者は配達の仕事での配達順を決定するのに手間取ってしまったり、その他全般的に物事の処理速度が低下しておりました。さらに、記憶障害や人格変化も相まって日常生活や仕事に支障をきたす状態でした。

 当法人はこれらを漏れなく立証することにより、別表第二第7級4号の等級認定を受けることができました。

示談交渉の経緯

 

3.示談交渉について

 本件では、当法人の方から先行して徹底的な立証とともに適正な示談額を提案したため、相手方任意保険会社の対案はそれほど低い金額ではありませんでした。しかしながら、①治療費、②付添看護費、③後遺障害逸失利益等は当法人の提案との間に大きく隔たりがあり、これらを争点を中心として交渉にあたりました。

 

 ① 治療費

 本件で問題となったのは耳鼻科受診に関する治療費です。

 事故受傷当初は脳挫傷や寛骨臼骨折があまりにも重篤であったため、鼻中隔骨折や嗅覚脱失の発見が遅れてしまいました。

 そのため、これらについて耳鼻科を受診したのは事故受傷から1年6か月以上が経ってからでした。

 交通事故における症状経過は、「事故受傷直後が最も重篤」であり「その後、徐々に緩解していく」ものと考えるのが基本と 

 いわれています。そのため、本件被害者の耳鼻科的症状は、一見すると交通事故とは関係なく突然生じたもののように見えて

 しまいます。

 

 当職では、この原則を良しとせず、間違いなく交通事故に起因するものであり、その治療費はしっかり賠償されるべき旨を主

 張いたしました。その結果、耳鼻科の治療費全額を認めさせることができました。

 

 ② 付添看護費

 事故被害者が入院を余儀なくされた場合、医師や看護師は全力を尽くしてくれるものの、四六時中付き添ってもらうことは不

 可能です。そのため、ご家族等の付添いは非常に重要となります。しかしながら、ご家族が付添いを行う場合、ときには仕事

 を休む等の負担が生じてしまうため、これをしっかりと補填してもらう必要があります。

 本件では、被害者は複数の病院で入院生活を送っておりましたが、保険会社の当初提案は一次診の入院に関してのみ付添看護

 費を認めるというものでした。当法人としては、付添看護費の重要性やご家族の負担を踏まえると、保険会社の提案は到底受

 け入れることができず、入院全期間について当該費用が支払われるべき旨を主張しました。その結果、保険会社の提案してい

 た日数の3倍以上となる入院全期間分の付添看護費を認めさせることができました。

 

 ③ 後遺障害逸失利益

 後遺障害逸失利益は保険会社との示談交渉でほぼ確実に争点となる費目です。本件では「労働能力喪失期間」と「基礎収入」

 がポイントになりました。

 当法人は、症状固定時の年齢から67歳に至るまでの18年間について、被害者の実収入を基礎として計算した金額を請求しまし

 た。これに対する保険会社の返答は、61~65歳は年齢別賃金センサス年収額(被害者の実収入より低額となります。)を基礎

 として計算し、66~67歳については認めないとのものでした。

 交通事故実務では、就労可能年数を67歳とすることが原則とされております。また、定年については高年齢者雇用安定法の改

 正が控えており65歳に引き上げが予定されていることもあり、保険会社の算定方法は到底受け入れられるものではありません

 でした。そのため、この費目については譲歩することができない旨を主張し、結果として、当法人主張どおりの満額を認めさ

 せることができました。

 

所感、争点

 本件では、上記の争点に加え5万円前後の交通費の他、装具費用、文書料等についても漏れなく請求しており、弁護士として可能な限りの請求を行えたと思っております。

 

 しかしながら、嗅覚障害についてはやはり初診が遅かったことがネックとなり、治療費は支払わせることができたものの、後遺障害については自賠責保険の認定を得ることができませんでした。また、被害者の膝蓋骨は本件事故により変形を生じてしまいましたが、現在の認定基準ではこれを後遺障害とは認めておらず、この点については甘んじるほかありませんでした。

 間違いなく事故に起因する障害・症状で苦しんでいるものの、制度の問題で補償を受けられていない事故被害者は多くいらっしゃるのが実情です。当法人は、それでも被害者の方々が適正な賠償金を得られるよう、今後も様々な方法を模索していきたいと思っています。