医師から「脳の障害は診断できない」と言われたが、併合8級を取得し、2,823万円を獲得した事例

主治医から「高次脳機能障害の診断はできない。」と言われたが、ご依頼後、逆転で併合8級を取得し、2,823万円を獲得した事例

医師から「脳の障害は診断できない」と言われたが、併合8級を取得し、2,823万円を獲得した事例

主治医から「高次脳機能障害の診断はできない。」と言われたが、ご依頼後、逆転で併合8級を取得し、2,823万円を獲得した事例
後遺障害内容・部位 高次脳機能障害、嗅覚障害
診断名・症状名 側頭骨骨折、脳挫傷
後遺障害等級 併合8級(高次脳機能障害9級、嗅覚障害12級)
主な自覚症状

オールイズワンに後遺障害等級認定・示談交渉サポートを受ける前と
受けた後の違い

賠償項目 獲得金額
後遺障害慰謝料 830万円(裁判基準)
後遺障害逸失利益 2,133万円(裁判基準)※1
傷害慰謝料 177万円(裁判基準)
合計額 3,140万円(裁判基準超)
10%過失認定事案のため、取得額は2,823万円※2

※1基礎年収  3,082,080円
本件では、労働能力喪失率について、8級相当の45%を前提として30年分の後遺障害逸失利益の獲得に成功しました。本件の併合8級の中には、嗅覚障害の等級評価も含まれており、嗅覚障害での労働能力喪失の認定を受けることは裁判においても困難であることから、これを示談交渉レベルで獲得できたことは大きかったと言えます。
※2相手は当初、被害者に25%の過失があると主張してきましたが、最終的に10%の立証に成功しました。

ご依頼の経緯

被害者の方は、主治医の先生から、高次脳機能障害などないのだから診断はできないし検査をする必要もないと言われたそうです。しかし、ご自身で事故前の自分と比べたときの変化を感じていた被害者の方は、法律事務所をいくつかまわった上、当法人へのご依頼をお決めになりました。

結果(後遺障害部分)

被害者の方に初めてお会いした時、事故前の被害者の方を知らない私から見ると、至って普通の女性の方でした。
しかし、被害者のお姉様にお話を伺うと、被害者の方は、事故前とは性格が変わり何事にも意欲を持てなくなっているとか、質問をすると答えてはくれるのだけれど、非情に長くまどろっこしく、結局答えてくれていないようなことが多く、こんなことは以前にはなかったことだということでした。それだけに、お医者様が後遺障害などないから後遺障害診断書など書けないと仰ることについては、非常に大きな違和感を持っているということでした。
後遺障害の診断につなげるため、久しぶりに主治医の先生を訪ねていただくと、やはり「後遺障害はないから書けない。」と言われてしまったと落胆しておられました。
そこで、当法人では高次脳機能障害事案のルーティンとなっている医療記録の取寄せと分析を行い、後遺障害の診断と等級の申請に必要な書類に情報をまとめました。これに基づき、主治医の先生との面談を再度被害者の方に設定していただき、後遺障害診断に臨みました。
面談の席上、基本的には被害者の方の症状の詳細をお知らせするというスタンスで話し合いを進めました。症状が分からなければ、主治医の先生にも後遺障害診断のしようがないからです。したがって、これまでは後遺障害診断をしていただけなかったのも致し方ないのですが、症状がお分かりいただけたら後遺障害診断をしていただきたいという具合です。
先生は予想以上にお話を聞いてくださり、それであればということで、後遺障害診断とその他の書類の作成を引き受けて下さいました。
しばらくして出来上がってきた書類を見ると、被害者の方の症状を的確に踏まえた内容が記載されており、これをもってすぐに等級申請手続に入ることができました。
等級審査には時間が掛かりましたが、高次脳機能障害9級の認定を得ることができました。
結果をお知らせした際、ご家族以外には誰にも分かってもらえなかったご自身の変化が分かってもらえたことに、被害者の方は安堵しておられるようでした。

示談交渉の経緯

この件では、まず、被害者の方には高次脳機能障害の他に、12級の認定を受けた嗅覚障害の問題がありました。つまり、嗅覚の障害によって仕事ができなくなったのかどうかという問題について、臭いをかぎ分けられなくなったことで労働能力が落ちたという評価を獲得することは一般的に極めて難しいと言えます。
しかし、被害者の方は、ブライダル衣装を専門に扱う貸衣装店の修繕の仕事をしておられ、返却された衣装の臭いを判別できないと、洗濯や修繕に関し正しい判断ができなかったのです。本件ではこの点を強く主張するとともに裏付け証拠を提出し、高次脳機能障害と併せて45%の労働能力喪失率を前提とした示談解決を実現することができました。
また、本件では過失割合についても相手はかなり強い主張をしてきており、交渉の前半は被害者の方に25%の過失があったとして譲りませんでした。そこで当方は、検察庁から取り寄せた実況見分調書をもとに、本件事故の過失割合は基本的に被害者15%、加害者85%とすべきであること、かつ、加害者は被害者に衝突する直前までその存在に気付いておらず脇見運転にも匹敵する著しい過失があることなどを主張し、被害者の過失を10%まで減らした内容で示談することができました。

所感、争点

本件では、まず、主治医の先生が被害者の方の高次脳機能障害を把握しておられず、後遺障害診断はできないという対応をされていたことが最初の壁でした。しかし、結局は私たちオールイズワンの関与によって後遺障害診断をしていただくことができました。
もしも今回、主治医の先生が、「後遺障害診断書は書くけど正常としか書けないよ。」と言ったご対応で、手続が進んでしまってご自分で等級の申請をしてしまうと、間違いなく後遺障害等級非該当の判断がなされることになります。 その後のご依頼となると、それをひっくり返すための異議申立の手続としてスタートすることになり、いわばマイナスからのスタートとなります。こうなると、どうしても、症状に相応しい等級を取得することの難度は増します。ですので、特に、高次脳機能障害の症状に見舞われた被害者の方やそのご家族の方々には、後遺障害等級申請をする前に専門性の高い弁護士にご相談いただきたいと思います。
病院は、専門化が進み、各診療科に役割分担が割り振られて久しい組織です。そのため、高次脳機能障害の研究をされている先生でもないと、脳神経外科の先生が症状を把握されていないという事態が生じることは少なくありません。そこで、例えば、同じ病院のリハビリテーション科や、場合によっては他の病院の記録に眠っている被害者の方の検査結果や症状に関する記載を、弁護士が整理して医師に届ける役割を負わなければいけないというのが現状だと思います。
被害者とそのご家族に、あたかも弁護士の活用という責任が課され、これを全うしないと被害の症状に相応しい等級認定を得られない。つまり、泣き寝入りを強いられてしまうという、そんな世の中の構造に思えて仕方ありません。 しかし、弁護士を活用して泣き寝入りをせずに済む道があるのもまた事実です。どうか、全ての被害者の方々に、この事実に気付いていただけるよう願っています。