60代年専業主婦の横断歩行中の死亡事故~裁判基準オーバーの6,000万円で示談解決した事例

60代年専業主婦の横断歩行中の死亡事故~裁判基準オーバーの6,000万円で示談解決した事例

後遺障害内容・部位 頭部
診断名・症状名 重症頭部外傷
後遺障害等級
主な自覚症状

オールイズワンに後遺障害等級認定・示談交渉サポートを受ける前と
受けた後の違い

賠償項目 獲得金額
死亡慰謝料 2,500万円(裁判基準)※
親族固有慰謝料 500万円(裁判基準超)※
傷害慰謝料 21万円(裁判基準)
死亡逸失利益(家事労働) 1,894万円(裁判基準)
死亡逸失利益(年金) 865万円(裁判基準)
休業損害 9.6万円(裁判基準)
付添看護費等 26万円(裁判基準)
葬儀費用 150万円(裁判基準)
合計 5,966万円(裁判基準超)
解決金額 6,000万円(裁判基準超)
※死亡慰謝料の裁判基準は親族固有の慰謝料と併せて2,500万円とされており、被害者単独で2,500万円満額の認定を受け、かつ、それとは別に500万円の親族固有慰謝料が認められている点で、裁判基準を大きく超える金額での解決でした。

ご依頼の経緯

被害者のお子様方が揃ってのご依頼でした。事故から4か月が経過した頃、被害者のご主人と、娘さんご夫婦、弟さんご夫婦が揃って事務所においでになり、ご依頼をお決めになりました。

〈どのような事故だったか〉

午前9時頃、散歩途中だった60歳代の女性が横断歩道を信号に従い歩行して横断する際、左後方から右折してきた中型貨物自動車の衝突を受け路上に転倒し、重症頭部外傷等の重大な傷害を負って11日間にわたる入院治療の甲斐もなく亡くなられたという事故でした。

事故のあった時間は、元々、被害者がお孫さんの登園に付き添っていた時間でしたが、コロナウィルスの影響で中断していたため、自宅近くを散歩されていた時の事故でした。

〈どうして死亡という重大な結果が生じてしまったのか〉

被害者は、路上に転倒した際、頭を強く打ち、重症頭部外傷等の傷害を負いました。

青信号に従って横断歩道を歩行中の事故であり、しかも後方から右折車に衝突された事故であったため、被害者は全く無警戒の状態であり、何らの対処も講じる余地なく転倒し頭部を強打したことが、重大な結果の発生につながったものと思われます。

〈この事案の特徴〉

60歳代だった被害者はまだまだお元気でした。また、ご夫婦仲は非常に円満で、娘さん、息子さんらご家族からもこよなく愛され、お孫さんからも慕われていました。

そんなご家族が、この事故によって受けた精神的苦痛の大きさは計り知れないものであり、この苦しみ、悲しみ、寂しさを訴え、形にしていくことが、ご依頼を受けたオールイズワンの使命でした。

〈刑事手続被害者参加〉

本件ではまず、刑事手続被害者参加でご遺族の方々の気持ちを訴えました。

刑事裁判は、加害者である被告人の罪責を決めるための手続きであることから、被害者が蚊帳の外に置かれがちです。しかし、特に死亡事故において、交通事故は被害者の家族にとっては永遠です。そこで近年、被害者参加制度を使って法廷に参加されるご遺族の方は増えてきています。

オールイズワンでは、この刑事手続被害者参加についてもフルサポートしています。民事手続きはその後長期間にわたって続いていきますが、示談交渉は基本的には保険会社を相手に粛々と続いていくもので、ご遺族の方々のお気持ちを加害者にぶつけ、裁判官に届けることができる場として、刑事裁判は極めて重要です。

そこで、オールイズワンでは、弁護士が、裁判所での被告人、その他証人に対する質問や法的意見の陳述を行い、ご遺族の方にも、心情意見の陳述をしていただくとともに、直接、被告人に対し質問することについても考えていただくことにしています。

法廷では、娘さんが、心情意見を訥々と述べられました。裁判所からは事前に10分以内にという指摘がありましたが、検察官を通じ20分見ていただきたいとお願いしてありました。お母様との長きにわたる思い出がギッシリ詰まった、また、この事故でいかにお辛い思いをされたが手に取るように分かる、素晴らしい意見陳述だったと思います。

弁護士からは、罪体と呼ばれる犯罪事実に関わる部分についても、様々、被告人に対する質問を検察官に提案していましたが、質問自体は検察官がなさるということでした。裁判当日は、検察官の質問の後、少しだけ罪体に関して質問し、主に、謝罪をしたとうそぶく被告人に対しその点を指摘するなど、情状に関する質問を行い、その上で意見を述べました。

質問に対し、被告人は、「本当は動揺していたので謝罪したかどうかよく覚えていない」とし、弁護士の意見の中では、被告人の過失の重大さや反省のなさ、被害感情について強く訴えました。

結果(後遺障害部分)

1.死亡慰謝料

死亡慰謝料の裁判基準は、被害者本人の分と親族固有の慰謝料を合わせて2,500万円とされています。しかし、本件でのご遺族の方々の無念は尋常でなく、特に、ご主人は、毎日、被害者の方の遺影を見な
がら食事をされていました。

ある夜、就寝後に目を覚ましたご主人は、2階の寝室を出ると階下に亡き妻の気配を感じたような気がして階下を覗き込みました。その拍子にバランスを崩して転落され、頭部などを強く打ち、医師からは慢性硬膜下血腫の危険を指摘されました。

このような精神的苦痛の大きさを訴え、被害者本人の死亡慰謝料2,500万円に加え500万円の親族固有の慰謝料の認定を受けることに成功しました。

これにより、死亡慰謝料の合計金額は3,000万円に達しました。

2.死亡逸失利益

死亡逸失利益についても、被害者は生前、至極健康であり、夫と二人暮らしの家庭の家事を一手に引き受けていたのは勿論のこと、お孫さんの保育園の送り迎えなど娘世帯の家事も担っており、基礎収入は、若年、中年層の女性も含めた全女性の平均収入とすべきであるとして譲らず、生活費控除率も30%を貫きました。

その結果、家事労働の逸失利益として1,894万円が認定されました。

また、年金部分の生活費控除率についても、相手方保険会社は50%を主張してきましたが40%として譲りませんでした。その結果、865万円の獲得に成功しました。

これにより、死亡逸失利益の合計金額は2,759万円となりました。

所感、争点

本件では、刑事手続被害者参加で訴えた被害感情を民事の交渉にも生かし、精神的苦痛の大きさは通常の死亡事故と比べても相当程度大きいものであるという主張立証を行い、これが認められた事案でした。
以上