横断歩道を歩いて横断していた60代兼業主婦の死亡事故~裁判基準超の6,800万円で示談解決した事例

死亡慰謝料と親族固有慰謝料を裁判所基準を超えての認定!

横断歩道を歩いて横断していた60代兼業主婦の死亡事故~裁判基準超の6,800万円で示談解決した事例

死亡慰謝料と親族固有慰謝料を裁判所基準を超えての認定!
後遺障害内容・部位 頭部・頚部
診断名・症状名 脳幹損傷・頚髄損傷
後遺障害等級
主な自覚症状

オールイズワンに後遺障害等級認定・示談交渉サポートを受ける前と
受けた後の違い

賠償項目 獲得金額
死亡慰謝料 2,700万円(裁判基準超)
親族固有慰謝料 300万円(裁判基準超)
死亡逸失利益(家事労働) 2,680万円(裁判基準)
死亡逸失利益(年金) 803万円(裁判基準超)
葬儀費用 150万円(裁判基準)
墓石建立費用 167万円(裁判基準超)
合計 6,800万円(裁判基準超)
※死亡慰謝料の裁判基準は親族固有の慰謝料と併せて2,500万円とされており、被害者単独で2,700万円の認定を受け、それとは別に、それ自体裁判基準を上回る300万円の親族固有慰謝料が認められている点で、いずれも裁判基準を大きく超える金額に達していると言えます。

ご依頼の経緯

〈どのような事故だったか〉

 午前0時過ぎ、60歳代の女性が、仕事帰りに信号のない道路の横断歩道を歩行して横断する際、時速60㎞で直進してきた普通乗用自動車の衝突を受けて路上に転倒し、脳幹損傷、頚髄損傷等の重大な傷害を負って間もなく死亡したという事故でした。

 

〈どうして死亡という重大な結果が生じてしまったのか〉

 被害者は、路上に転倒した際、頭を強く打ち、脳幹損傷、頚髄損傷等の傷害を負いました。横断歩道を歩行中でしたが乗用車が全く減速しなかったため、被害者も受け身を取る暇もなく頭を強打しました。そのため、死を招くような重大な傷害が生じてしまいました。

 

〈この事案の特徴〉

 被害者の方は60歳代とは言えとてもお元気で、まだまだ現役で仕事をされながらご主人のために全ての家事を行い、その他に遠方に住む親族の介護までしておられました。

 他方で加害者は、犯行当時酒気を帯びており、被害者に対する救護義務違反もありました。この両面を訴え、慰謝料の増額と高額の逸失利益の獲得を同時に実現しなければならない事案でした。

 

〈ご依頼の経緯〉

  被害者のお子様方が揃ってのご依頼でした。事故から暫く時間が経ってからのご依頼でしたが、それでもお母様を失った悲しみは未だ癒えず、救護義務さえ果たさなかった加害者に対する苛立ちに苛まれておいででした。

 

示談交渉の経緯

〈結果~示談交渉の経過と交渉のポイント〉

 

1.本件の示談交渉開始後、最初の保険会社からの回答では、死亡慰謝料は、被害者・親族固有慰謝料を併せて2,200万円とされ、到底目標とする数字には届かないものでした。

 そこで、本件は加害者が犯行当時酒気帯びの状態にあったこと、救護義務を果たしていないことなどの事実を指摘し、本件が裁判となった場合、裁判所がどのような認定をするかを具体的に指摘しました。

 

 また、被害者が60歳代とは言え非常に健康で、仕事に加え家事に介護に走り回っていた実態を詳細に訴え、被害者本人の慰謝料だけでも通常の裁判基準とされる2,500万円を大きく超える評価がなされなければならないことなどを主張しました。

 

 これにより、最終的にはこちらの主張が認められ、被害者本人の慰謝料について2,700万円、親族固有慰謝料として300万円、併せて合計3,000万円の認定を受けることができました。

 

2.(1)死亡逸失利益

 他方、死亡逸失利益について、当初相手保険会社の回答は、生活費控除率を50%とするものでした。被害者が亡くなられた場合、収入がなくなりますが、生存していれば生じたはずの生活費も発生しなくなります。そこで、被害者が生存していた場合に費やしていたであろう生活費の分は、割合的に逸失利益額から控除すべきであるというのが生活費控除率の問題です。

 しかし、当方が敢えて被害者を兼業主婦として損害賠償請求をしていたのには訳がありました。それは、兼業主婦とせず、一家の支柱であったとして請求を組み立てた場合の生活費控除率の相場は40%以上とされることが多く、合計金額がかえって減ってしまうことにありました。

 

 それだけに、兼業主婦の主張に対し、生活費控除率50%の反論を受け、引き下がるわけにはいきませんでした。

 その後、粘り強く反論を続けた上、家事労働の逸失利益については生活費控除率30%の認定を勝ち取りました。

 

 他方、年金については、生活費控除率50%程度とされる裁判事例も多い中で、様々な判例をリサーチし、その中から、最初の10年は生活費控除率を30%とし、その後は40%とするという本件にピッタリの判旨を用いることとし、解決を前提に交渉を続けました。

 

 最終的に、この内容で相手保険会社の決裁を取り付けることに成功し、家事労働の逸失利益26,796,330円、年金の逸失利益803万円の認定を受けることができました。

 

(2)死亡慰謝料・逸失利益の大幅増

 慰謝料については、すこぶるお元気だったお母様を失った精神的苦痛や、加害者の事故時の救護義務違反等を徹底的に訴え、保険会社の当初提示額の約1.4倍に伸ばし、逸失利益も上記主張により、やはり保険会社当初提示額の1.4倍を上回る金額を認めさせることに成功しました。

 

(3)裁判基準超え

 本件では、死亡慰謝料、死亡逸失利益ともに、裁判例を大きく超える認定を受けることに成功しました。過去の事例をつぶさに分析し、粘り強く主張を続けた結果だと思います。

所感、争点

〈所感、争点〉

 死亡慰謝料と逸失利益のどちらかを多く認めたらどちらかを切り下げようとする裁判例の傾向の中、本件は、その両方について妥協を許さない事案でした。

これまでの経験に基づくノウハウと調査分析、これに基づく交渉を通じ、裁判基準を大きく超える水準での解決を達成することができた事案ということになります。